こんにちは。
シンガポールの出張ピアノ教室
fairy wish creation 講師の
塚越 則子(つかごし のりこ)です。
1992年来星。シンガポールPR(永住権)保有者。
シンガポールで1番長い指導歴のキャリアを持つ、日本人のピアノの先生です。
講師 塚越 則子(つかごし のりこ)は、ヤマハ認定グレードにおいて、ピアノ、エレクトーンの演奏、指導共に最高位のグレードを保持する指導者であり、鍵盤楽器演奏のエキスパートです。
シンガポールは日本とピアノ教室の事情が異なっており、講師の自宅で音楽教室を開講することは、国の法律で認められていません。
当ピアノ教室は、開校以来、シンガポール政府の定めた法律を遵守している、講師が生徒さんのお宅に出向いてレッスンを行う、出張ピアノ教室です。
Q&Aシリーズ⑩
先生のお宅でのレッスンはありますか?
今日は、当ピアノ教室の、新春特別企画
【ピアノ弾き初めチャレンジ2021】第3日目です。
本日の演奏者は、昨年、シンガポール国内で、発表会の会場開催が認められないことを受けて、当ピアノ教室が独自に打ち出した、オンライン発表会の進化系である「ハイブリッドピアノ発表会2020」に於いて
約半年間の練習の成果を発揮して、リトルピアニスト憧れの「エリーゼのために」の華麗な演奏で、見事なトリを飾ってくれた、Kちゃんです。
シンガポールのピアノ教室/「エリーゼのために」9歳の女の子の発表会演奏までのあゆみ~母の手記
2021年は、さらにピアノ演奏に磨きをかけることに加えて、新しい音楽の扉を開く意欲も芽生たようで、今回の「弾き初めチャレンジ2021」では、素晴らしい演奏と共に力強い抱負も語ってくれました!
演奏してくれた曲は、バッハの「主よ、人の望みの喜びよ」です。
令和時代の指の練習曲は「ハノン」「チェルニー」だけではありません。
この曲は「エリーゼのために」の後半部の右手スラーがきれいに弾けるようになるための指のストレッチ(よく広がるように)の課題で、いわば「エリーゼのために」完成までの影の立役者的存在でした。
Kちゃんが取り組んだ「主よ、人の望みの喜びよ」は、原曲よりやさしいアレンジになっていますが、それは初心者向けの楽譜という意味ではありません。
旋律のスラーを優先させるために指を大きく広げたり、指かぶせで親指を大きく折り曲げて、深く手のひらを折る部分など、掌の高い柔軟性を求められる箇所が多くあり
楽譜を眺めただけや、音を聴いただけではそれらの複雑さは分からず、実際に弾いてみて初めて理解できる難しさが、随所に潜んでいます。
指を柔軟に動かすためのトレーニングのメソッドというと、昭和のピアノ経験者の方は「ハノン」や「チェルニー」を思い浮かべる方も多いでしょう。
これらは、大変有効な筋トレ的な要素を含む一方で、単調で退屈だったり、一歩使い方を間違えると指を痛めることもあり、このメソッドの練習がイヤでピアノから遠ざかってしまった歴史を持つ人が多く
当ピアノ教室の歴代の大人ピアノレッスン生の「ピアノの世界へおかえりなさい」組にも、多く存在します。
実際のところ「ハノン」「チェルニー」で練習をしないと、絶対に身に付かないスキル、というのは存在しません。
絶対的信奉者は、いまだに多く「登竜門」的位置付けに思う方も思いようですが
指のトレーニングには、必ずしも専門の教本を使う必要はなく、曲の中でも練習する事ができます。要は「使い方次第」です。
「難易度の高い曲に取り組むには、苦労して、嫌な練習も我慢しながら歯を食いしばって繰り返しやらなければならない」
「苦しみに耐える事が美徳であり、それに耐えてこそ一流になれる道が開ける」
「練習をすればするほど結果は出せるはず」
といった思い込みは、かつて、スポーツの世界にもありました。
平成、令和と時代を経て、現在は、アスリート界でも「根性論」は過去の産物となり、むしろ害があるというエビデンスがわかったトレーニングさえあります。
うさぎ跳びは、まさにその代表として、広く知られていますね。
スポーツの上達のためには、どんなトレーニングをしたら、より効果が上がるのか、トレーナーの指示により科学的に実証されている方法をいち早く採用して、そこに特化した練習を継続しているアスリートが、高い実績を残しているのと同様に
ピアノの世界でも、より効果的な上達のためには、時代の変化に応じた指導が不可欠であるため、ピアノ指導者は、指導法の改善はもちろんのこと、最新のテキストについての知識を深め、情報を日々更新する事も大変重要です。
生徒さんにとって、より学びやすいように、テキストの内容は年々進化していて、令和の現在は、メソッドの種類も充実していて、昭和の時代とは比較にならないほどの種類の多さです。
シンガポールの出張ピアノ教室Q&A6/レッスン初心者の教本にバイエルは使わないのですか?
曲をきれいに、早く仕上げるためには今、何が必要か、そのために鍛えるべきことは何なのかを、指導者が確実に把握して、優先順位を的確に見極めた上で、そこにフォーカスすることは、上達への最短距離です。
単に時間をかければいいというものでもなく、指や腕に負荷をかけ続ければいいというものでも決してないのはスポーツと同じで、大切なのは練習の「量」ではなく「質」そのものです。
質の良い練習をするためには、指導者が一人一人に適した素材を選び、適切なトレーニングの仕方を指導することから、その一歩が始まりますが
指のトレーニングの練習は、ピアノの技術を習得していくための「土台作り」なので、とかく地味で単調な練習課題に偏りがちで、いろいろな理由をつけて、ついサボってしまいたくなりますよね。。。(笑)
そこをいかに克服して、生徒さんの練習へのモチベーションを、より高めていけるかが、指導者の腕の見せ所でもあるのですが、そのあたりの「舞台裏」は、私自身、日常のピアノ指導の場で明かすことは、ほぼありません。
言葉で説明しようとしても、時間がかかり、ややこしく、理屈っぽい話になってしまう割に、理解しづらい事が最大の理由ですが
それ以前に、当ピアノ教室の保護者の方々は、ピアノ経験者、未経験者に限らず、そのあたりの、言葉では説明しきれない、「ピアノ学習のヒダの内側の部分」を「あ、うんの呼吸」で理解してくださる方が多いため
「結果よければ全て良し」で、指のトレーニングについてに限らず、普段から信頼して、指導の全てを一任してくださっている事もあり、説明の時間を割く必要がないからです。
シンガポールの出張ピアノ教室Q&A 9/親はピアノ未経験者で、子どもに教えられませんが大丈夫ですか?
令和3年のBeautiful Harmonyに思いを託して。
今回、期せずしてKちゃんが「エリーゼのために」の指のトレーニングとしての課題だった「主よ、人の望みの喜びよ」を「弾き初めチャレンジ2021」の演奏曲として選び
この曲を単なるトレーニングのための裏方の存在として、隅に置きやるのではなく、新しい年の幕開けの一曲としてスポットライトを当ててくれたことに、私は指導者の立場として、Kちゃんの新しい年の、さらなる飛躍の予感を感じました。
表面に見えるものだけではなく、その後ろにあるもの、その下で支えてくれているもの、全ての存在があって成り立っているのは音の世界に限ったことではなく
全てはお互いに関係していて、どれも必要であり、無駄な存在は一つもありません。
新しい年に作曲の世界への扉を開ける決意を表明したKちゃんは、ピアノを演奏するだけの今までとは違った角度から曲の仕組みを知ることで、音の世界の不思議さや奥深さを知ることになり
やがて、成長と共に、全てがお互いに関係しあって、助け合いながら美しい音を奏でている音楽のハーモニーから、人々のハーモニーの世界に、広く思いを馳せる時がやってくることでしょう。
kちゃんの瑞々しい感性を通して、2021年の今年、Kちゃんの周りでは、どんなハーモニーが紡ぎ出されていくのか、とても楽しみな則子せんせーです。
さて、第4日目となる明日の「弾き初めチャレンジ2021」は、2020年の社会現象にまでなった「鬼滅の刃」のテーマ曲「紅蓮華」の11歳の男の子の力強いピアノ演奏をお届けします。
どうぞお楽しみに。