こんにちは。
シンガポールの出張ピアノ教室
fairy wish creation
塚越 則子(つかごし のりこ)です。
1992年来星。シンガポールPR(永住権)保有者。
シンガポールで1番長い指導歴の日本人ピアノ講師です。
シンガポールは日本とはピアノ教室の事情が異なり、講師の自宅でお教室を開講することは法律で認められていません。
当ピアノ教室は、シンガポール政府の定めた法律を遵守した、講師が生徒さんのお宅に出向いてレッスンを行う、出張ピアノ教室です。
Q&Aシリーズ⑩
先生のお宅でのレッスンはありますか?
今日からは、シリーズで、当ピアノ教室でピアノを習い始めて3年目の9歳の女の子、Kちゃんのお母さんからいただいた手記をご紹介します。
Kちゃんは、今年2020年、第24回目の開催となる、当ピアノ教室の発表会で「エリーゼのために」を演奏するため、オンラインレッスン実施中の6月初旬から11月まで約5ヶ月の間、コツコツと練習を積み重ねてきました。
そして先週行われた「ハイブリッドピアノ発表会」Part1自宅開催の部では、リビングの空気を一瞬にしてコンサートホールに変えて、最高の演奏を堂々と披露し、感動の渦を巻き起こしました!
【大成功した本番演奏の数時間後にいただいたメッセージより】
♬本日は、ありがとうございました。
おかげさまで、無事にPart1を終えることができました‼︎
「エリーゼのために」は全体的にこれまでの一番の出来で、本番で力を発揮できたことを大変嬉しく思います。
これまでの先生のご指導に本当に感謝です。
by お母さん
♬カメラや先生やパパ、ママの近くでの演奏で、これまでの発表会とは違う緊張があったけど、うまく弾けて嬉しかったです!
by Kちゃん
当ピアノ教室では今年、オンライン発表会をさらに進化させた、新時代の発表会「ハイブリッドピアノ発表会」のPart1自宅開催の部が先週無事終了したばかりです。
シンガポールのピアノ教室/「ハイブリッドピアノ発表会」自宅開催の部、則子先生の即興演奏のご感想より
ピアノを習い始めた人が、弾いてみたい憧れの曲として必ず挙げる「エリーゼのために」。
ピアノを習いはじめて数年が経過して、この曲が弾けるようになったということは、ピアノを学ぶ生徒さんが、ピアノ初心者を卒業する大きな節目の時期を迎えたということを意味します。
それは同時に、ピアノ指導者にとっても喜ばしい気持ちが湧き上がり、愛弟子の成長を誇らしく思う瞬間でもあります。
今回、手記では、そんな、ピアノレッスンの歴史に、大きく刻まれるであろう「エリーゼのために」を弾くことが決まった日から発表会直前までのKちゃんのピアノ練習の軌跡を、Kちゃんに常に寄り添い、励まし、支えながら共に歩んだ母の視点で振り返っていただきました。
ピアノレッスンの場では見ることのできない、普段のご家庭でのピアノ練習を通しての母娘の絆や心の動きが行間から感じられて、憧れの曲に挑戦する嬉しさと不安の入り混じった日々が、大変リアルに描かれています。
ピアノ指導者として、お母さんの素晴らしいサポートを讃え、感謝の気持ちを込めて、いただいた文章は、そのままの形で、今回からシリーズでご紹介してまいります。
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先生から
「次の発表会の曲にエリーゼのためにを考えています」
とお話をいただいた時、私も娘も嬉しい驚きでいっぱいでした。娘はそれまでに学校でお友達とエリーゼのためにを遊びで弾いていたそうで、きちんと習えることに嬉しそうでした。
お友達の間でも憧れの曲だったようです。先生は私たちの反応を見て、発表会はこの曲にしようと決心されたように思います。
私も弾いてみたかった憧れの曲を、娘がついに習うのか!と思うと私までもが意気込んでくるのと同時に、この時娘は9歳になったばかりの3年生で本当に弾けるのかな、指の長さが足りなのでは…という不安も少しありました。
その日のレッスンが終わった後、娘と私はYouTubeで「エリーゼのために」を検索し、小さい子から大人までいろんな人が弾いている動画を見て、期待と不安とが入り混じっておかしなテンションになりました。
オンラインレッスンでのスタート
普段の練習曲が進み、もう少ししたら「エリーゼのために」の練習が始まるかな…と思っていた4月初め、サーキットブレーカー(※)が発令されました。
そして、ピアノもオンラインレッスンがはじまりました。
先生から楽譜を受け取ることができない中、インターネット上で楽譜を入手できることを教えてくださり、6月頃にiPad楽譜での練習スタート。
先生がとても落ち着いて淡々と進められるので、不安になる隙もなく、そして何の問題もなく練習を開始できました。
娘もすぐに慣れて、iPadの楽譜にペイントしたり、オンラインレッスンを楽しんでいました。
お馴染みのあのパート
まず、お馴染みのパートです。娘は(私も)やる気まんまんで、練習熱にみなぎっていました。
娘は、遊びで弾いていた指づかいとは全く違っていたのに驚いていました。
先生が送ってくださった動画を何度も見て練習し、少しそれらしく弾けるようになると嬉しくなり、いつも練習はご機嫌です。
どうしても左手が届かないところがあり、「わたしの指、短いなぁー」と言っていましたが、先生から指のかたちや肘の角度などアドバイスをいただいて、すぐに弾けるようになりました。
お馴染みのパートをゆっくりですがスムーズに弾けるようになったところで、先生から
「とても良いペースで進んでいます。予想より少し早いくらいです。」
と声をかけていただいて、自信がつき、ますます「エリーゼのために」熱が熱くなりました。
娘は、自ら進んで毎日ピアノの練習をする優等生!ではないタイプですが、「エリーゼのために」の練習が始まってから、自分できちんと練習できるようになりました。
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この頃のレッスンは、zoomを使ってのオンラインレッスンでした。
なるべくわかりやすく手元をアップさせるために、MacBook、iPad、iPhoneと3つ同時にデバイスを使用して画面分割をする角度を研究したり、初めて使う「ミラーリング機能」の手際をよくするために、試行錯誤を繰り返して何度もシミュレーション練習しりしていた日々が、まるで昨日のことのように蘇ります。
「エリーゼのために」を代表する、最初の1ページ目のレッスンは、馴染みのあるメロディの答え合わせのような楽しみがありましたね。
画面越しのKちゃんの弾けるような笑い声が、今も聞こえてくるようです。
ミのオクターブが連なるクロスハンドの部分では
左、右、左、右!
と、掛け声を掛けながら練習したね♬
共有画面で確認してから、iPadにマークアップで指使いを書き込むKちゃんの手つきも、レッスンを重ねるごとに慣れて、次第に余裕が見られるようになったのも、この頃でした。
さて次回は、いよいよ最大の難関、2ページめの【32分音符のパート練習】です。
(※)サーキットブレイカー
シンガポールでは、2020年4月中旬から6月末まで、新型コロナ肺炎の拡大防止措置として、短期的ロックダウン(都市封鎖)を示す「サーキットブレイカー」が発令されました。