こんにちは。
シンガポールの出張ピアノ教室 fairy wish creation
講師の 塚越 則子(つかごし のりこ)です。
当ピアノ教室では、発表会の曲決めが始まっています。
今年、2024年の発表会の開催日は12月1日。
第28回目です。
発表会の曲の候補は、何ヶ月も前から考えます。
というより、打ち明けてしまうと…ほぼ一年中
次の発表会で、この子には、この曲がいいな✨
なんて考えているのが実情だったりします。
ことあるごとに頭の中で、一人一人のステージでの演奏の姿を、つい「妄想」しちゃうんですよね。
膨大な曲の中から、とにかくたくさん、いろいろ聴いて
一人一人の伸び代を考えて
一人一人の良さが活きて
一人一人がステージで最も映える
そんな曲に出会えたと実感できる瞬間まで
ひたすら探しまくります。
時間もかかるし
手間もかかるけれど
だからこそ、いい!!!!!
プロの視点ならではの見立てですので
ここが腕の見せどころ💪
ですから労力を惜しむことなどできません。
レッスンを始めて何年か経った生徒さんから、普段よく聴いている、お気に入りの曲を弾きたいというリクエストがあったときは
まず原曲を聴いて
数々ある市販のピアノ譜を片っ端からチェックし
簡単すぎず、難しすぎない
ちょうどいい「負荷」のアレンジの譜面を選び
さらに、練習に入ってからは、一人一人の持ち味が引き立つ「ステージ仕様」になるように、手を加える(編曲)作業をしていきます。
お洋服にたとえるならオートクチュール。
これが則子先生流の発表会への向き合い方です。(まだまだ企業秘密もあるけれどね😃)晴れの舞台ですので、生徒さん一人一人に、ありったけの愛情を込めます。ですので、当ピアノ教室では
◆好きな曲でいいですよー
◆ご家族で相談して決めてくださいねー
なんて、選曲を丸投げにしたりすることは致しません。
練習も、おうちの方に委ねることはせず、指導者として責任を持ってイニシアチブをとり、本番まで面倒を見ます。
前置きが長くなりましたが…
当ピアノ教室でレッスンを始めて7年目の中学1年生、Mくんの曲決めで、先日、ちょっとした「事件」が発生しました。
毎年「どんな雰囲気の曲がいい?」
と尋ねても特に目立った主張がなく
「なんでもいいよ」
「曲は先生が決めて」
と言っていたMくんなのに、今年はなぜか、私が候補に挙げた曲を全て却下し
絶対にこの曲がいい
この曲じゃなければ弾きたくない
と、一歩も譲らないのです。
とあるJ-POPの曲です。
出だしをちょっと聴いた瞬間、私は頭を抱えてしまいました。なぜなら、このタイプは
難しさが聴いている人に伝わりにくい曲だから
この意味が、みなさんにはわかりますか?
発表会の曲えらびの基準は
テクニック、手の大きさ、表現力、体力などが生徒さんのレベルにあっていることはもちろんなのですが
「必死に練習したのに、その難しさが伝わらない曲」は発表会向きではありません。
頑張ったことがストレートに伝わる、そんな曲を発表会で堂々と披露して、大きな称賛を浴びて欲しい
それが親心なのですけれど…
速くて複雑なリズムの連続で、かなり練習をしないと形にならないことも明らかでしたので
「すぐには弾けないよ」
「決めたら途中で投げ出すことはできないよ」
「中途半端だと、みんなに聴いてもらうのにおかしいよ」
と、ネガティブワードをガンガン連発してもなお
大丈夫
頑張れる
だから、この曲が絶対弾きたい
と、主張が揺らぐことはありません。
こんなことは初めてでした。
お母さんもビックリしたようで、私とMくんの激しいやりとりに、ただ、ただ唖然とした表情。ちなみにMくんのご両親はピアノ経験がなく、ここまでの7年間、Mくんは自分の力だけで進めてきました。
いつになく真剣な眼差しのMくんと見つめあいながら、私はやっと気がついたのです。
ああ、この子は、とことんまでやってみたいんだ
そして
自分の力を試してみたいんだ
と。だから私も決めました。
Mくんと運命をともにします!!!!!
と言ったら大袈裟に聞こえるかもしれないけれど、決断するには正直、そのくらいの覚悟が必要でした。
なぜなら私は、表面に見えているその奥の、先の先まで見通しているので、様々なことを想定しながら、もしもに備えて動いているから。そう言い切れるだけの多くの経験を積み、多くの失敗もして、たくさんの涙も流してきました。Mくんには
「できなかったら恥をかくのはMくんなんだよ」
と言ったけれど、則子先生はプロですから、そんなこと絶対にさせないと約束します。
(Mくんには内緒だけどね)
その代わり、レッスンは厳しくなるけれど、しっかりついてきてもらいますよ。
思い詰めたような表情をしたMくんから、またもや爆弾発言が飛び出しました。
「部活はやめる」そうです。突き指したらその分、練習が遅れてしまうというのが、その理由です。
レッスン時間も15分延長してほしいとのこと。前のレッスンの方に事情をお話しし、無事に調整することができました。
一件落着したところで、これまでの7年を振り返り、思わず涙が溢れそうになりました。
\やっと本気を出してくれました/
ここまでが長かったけれど、信じて見守ってきたご両親のふるまいは立派の一言に尽きます。
どんなに弾くことが好きでも、途中で投げ出さずに長年ピアノを続けていくことは決して生やさしいことではありません。
子ども特有の気まぐれに一喜一憂して振り回された挙句、始めてからたった数年、時には一年未満で「ご家族で相談」し、一方的にピアノに見切りをつけてしまう保護者の方もいます。
まだまだ、これからなのに…
先を見据えての「いま」なのに…
(お話することはありませんが、レッスンの組み立ては行き当たりばったりではなく、半年、一年先の成長に焦点をあてています)
正直、とてももったいないなぁと感じます。
ピアノに限ったことではありません。
「思うようにいかないならば、無理をさせずやめればいい」
「別の何かがきっとある」
果たしてそうでしょうか。
そんな「つまみ食い」のような思考がクセになって、当たり前になってしまったら、腰を据えて物事に取り組む力を養うことなどできないのではないでしょうか。
本質を捉える視点も育ちません。
思いつきに従うまま、情報に踊らされて、あれこれ体験だけを重ねても、結局中身がスカスカならば自信を培うこともできません。
社会にでて、親の後ろ盾がなくなったとき、現実に直面して困らないかしら?
老婆心ながら、そんな心配も湧き上がってきます。
幼稚園年長から中学一年まで7年間、紆余曲折を経て、それでもピアノレッスンを続けてきた。これはMくんの人生の勲章に他なりません。
社会にでてからも必ず活きるはず✨
今回の挑戦は、Mくんにとって、おそらく一生に何度も巡ってくることはない、ひときわビッグなチャレンジになるでしょう。
そう思うと、指導者としてワクワクする反面、緊張で武者震いが止まらない、則子先生です。
どこよりも手厚く、きめ細やかなピアノ指導で、シンガポールの駐在員日本人ご家族との信頼の絆を築いて33年。
頑張ることを楽しむ心を育てる
当ピアノ教室のレッスンは、ワンランク上の心と音楽を学ぶレッスンです。
ピアノを学ぶことを通して、これからの時代を生きるために必要な「人間力」を育てます。
当ピアノ教室は、300人以上の生徒さんたちを育て上げた経験を持つ、シンガポールで一番長い指導歴の日本人のピアノの先生が主宰している出張専門のピアノ教室です。
1992年来星。シンガポールPR(永住権)保有者。
指導方針