こんにちは。
シンガポールの出張ピアノ教室 fairy wish creation
講師の 塚越 則子(つかごし のりこ)です。
今日は久しぶりに指使いのお話です。
指使いについては、こちらの公式ブログでも何度か書いています。
シンガポールの出張ピアノ教室/指使い使いどうする?「夜にかける」で初挑戦に挑んだ11歳。
ポピュラーピアノの演奏をランクアップ!〇〇を見直しましょう。
新しい曲の譜読みをしていく中で、見落としがちだけども実は大切なこと、それは
指使い(指番号)を守ること
です。
当教室では、譜読みをするときに音のみに着目するのではなく
「音+指番号をセット」でとらえる習慣をつけるように、導入期のレッスンから指導をしています。なぜなら
のちのち、指使いの違いが上達に直接影響する時が必ずくるから。
最初は少し弾きにくくて苦労するかもしれませんが、慣れると楽譜通りの指番号がしっくりくるはずです。
このように聞いて、あ、鉛筆の持ち方やお箸の持ち方のトレーニングと、まるっきり一緒だ!
と感じた方も多いのではないでしょうか。
そう。何事も最初が肝心なのです。
当ピアノ教室のレッスンでは、音名やリズムを楽譜通りに演奏できるように指導するのはもちろんですが、指番号にもしっかり気を配るように、何度も何度も、しつこいくらいに伝えます。
間違えていたら、その都度直すように声をかけます。
小学生以上のレッスンでは、自分のペンを使って、自ら「しるし」をつけてもらうことで、より深い注意を促します。
結構根気が要りますが、指使いに限らず「まだ幼いし」「初心者だから」と、音楽的規則を軽視したり無視することに慣れてしまうと、いつしかそれが当たり前になり、必要だと本人が自覚する時が来ても、なおすのがとても難しくなります。
これを、子どものいうがままに【こだわり】と解釈する方がおられますが、単に長年の間に染み付いてしまった【クセ】であり、本人の意思とは関係ありません。
直そうとしても直らない、直せない
そのことを一番よく分かっているのは弾いている本人です。
とても悔しいと感じています。
だからつい、意固地になってしまったり、理屈をこねたり、とってつけたような理由を並べたりして場を取り繕って、懸命に本心を隠すのです。ここまでくると、かなり重症と言わざるを得ないでしょう。
当ピアノ教室は、1992年開講と、シンガポールで一番歴史が長いため、講師のキャリアへの信頼も厚く、他のピアノ教室から当ピアノ教室に移られてきた生徒さんも数多くお引き受けしている経験があるため、つらさがよくわかります。
その一方で「最初に指使いの大切さを指摘してもらわなかった」ことが原因で、指使いの存在を疎かに扱い、思うように弾けるようにならず、伸び悩んでいる生徒さんが多いことに密かに、日頃から憤りを感じています。なぜならそれは
指導者の怠慢以外の何物でもないからです。
指導の現場で「まだ、この段階では、これでもいいや」と、基礎を放置したままで安易に先に進めてしまったら、将来の可能性を詰むことになってしまう恐れがある。
これは指導者ならば「誰でも」「当たり前」に知っている常識です。ですから
生徒さんに対して、我が子に抱くのと同じような愛情を注いでいたなら、知らんぷりして放っておくことなんてできないのではないか
そんな疑問が湧いて、思わず怒りが湧いてしまうのです。
これって行き過ぎでしょうか。。。💦
みなさんは、楽譜に書かれている指使いを守らずに自己流で弾くと、演奏上、様々な障害が起こることをご存知ですか?
◆フレーズが変なところで切れたり、指が速く動かなかったりします。
◆太い音が欲しいところで4番5番の指を使うと重厚な音が鳴りにくくなり、しっくりきません。
◆黒鍵を含む音列を速く演奏しなければならない時に黒鍵の音を5番の指で弾くと、ミスタッチにつながりやすくなります。
上に挙げたのは、ほんの一例に過ぎません。
そう。適切な指使いで弾かないと、何を弾いても中途半端な出来栄えになってしまいます。
これは何を意味するかというと
どんなに練習しても上達している手応えがつかめません。
これは、周りの想像以上に、弾いている本人にとって切実な問題です。
もう嫌だ、ピアノなんてやめてしまいたいとさえ思います。
どんなに努力して頑張っても、思うような結果が得られないのですから、追い詰められた気持ちになって当然です。
当ピアノ教室の指導では、まれに、子どもの手の成長の具合や指の長さ、利き手の違いに合わせた指使いに変更することもありますが、基本は楽譜に書いてあるとおりです。
指使いを変えるときは状況に応じて様々な理由がありますが、その際も音楽的な法則に沿っています。踏み込んだ専門知識のことも多いため、詳細な説明や変更に至る背景を、おうちの方に説明することは殆どありません。
レッスンにおいて保護者の方との会話が必要か否かはケースバイケースですが、指使いのような技術面に関しての内容は、限られた時間を説明に割くよりも、一回でも多く弾き込んだ方が上達に繋がると思っています。
「どうして変える必要があるの?」
「こちらでも(代替案)いいのでは?」
など、ピアノ経験者の保護者の方で理由を知りたい時は、ざっくばらんに後日、直接お伝えくださると嬉しいです😃
さて。
先日の、あるレッスンでのこと。
他のお教室からの転入生のお一人である生徒さんの指使いが、本人の意思に反して何週間も直らず、そのことが遠因になってミスを繰り返していることに気がついていた則子せんせは
\今日こそは必ず/
との意気込みを隠しつつ、違った角度からのアプローチを試みることにしました。
「指使いを守ることは、正しいお箸の持ち方をするのと同じなんだよ」
「お箸を握っても食べることはできるよね」
「だけど、どうして、そうしてはいけないの?」
しばらく考えた末の生徒さんの答え。
「みっともないから」
則子せんせー。
「そう、その通り」
「ピアノの指使いが間違っていても、みっともなくはないけれど」
「美しくはないよね、そう思わない?」
神妙にうなづく生徒さん。
則子せんせー。
「ピアノを弾いている姿を美しいと感じて欲しいでしょう???」
この一言は、思春期の入り口に差し掛かった女子のハートに、予想通りにしっかり刺さったようです。
その証拠に、その直後に弾いた一回は、これまでの演奏と全く違っていました。
必ず間違えていた指使いの手前のフレーズで「次のところを直さなきゃ」という強い意志と緊張感が感じられ、一音ずつ慎重に弾き進めていった結果
初めてミスしないで最後まで弾くことができた
のです。
私は美しく弾ける✨
そんな叫び声が聞こえたような気がしました。
作戦大成功😃
また1人、伸び悩んでいたお子さんさんをピンチから救うことができました。
「やったね!!!!!」
喜びを抑えきれない私の横で、今まで見たことのないような凛々しい表情をして満足げに微笑んでいた生徒さんの横顔を、私はこれからもずっと忘れないでしょう。
おめでとう!!!!!
ピアノレッスンを通して経験する一つ一つの小さな自信の積み重ねが、大きな、揺るぎない自信へとつながっています。
どこよりも手厚く、きめ細やかなピアノ指導で、シンガポールの駐在員日本人ご家族との信頼の絆を築いて32年。
頑張ることを楽しむ心を育てる
当ピアノ教室のレッスンは、ワンランク上の心と音楽を学ぶレッスンです。
ピアノを学ぶことを通して、これからの時代を生きるために必要な「人間力」を育てます。
当ピアノ教室は、300人以上の生徒さんたちを育て上げた経験を持つ、シンガポールで一番長い指導歴の日本人のピアノの先生が主宰している出張専門のピアノ教室です。
1992年来星。シンガポールPR(永住権)保有者。
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