こんにちは。
シンガポールの出張ピアノ教室 fairy wish creation
講師の 塚越 則子(つかごし のりこ)です。
今週土曜日、10月26日は、待ちに待った藤井風くんのコンサートです。
入手が極めて困難なチケットでしたが、先行予約で、かなりいい席をとることができました。そこで
せっかくだから、できるだけ長く楽しみたい😃
ということで、今日からの3日間は、ライブにちなんだ話題をお届けしたいと思います。
蘇るチャー クェ テオの思い出。
藤井風くんは、少し前のインタビューで、シンガポールのローカルフード
チャー クェ テオを食べてみたい
と語っていました。
シンガポールにお住まいのみなさんは、チャ ークェ テオを食べたことがありますか?
チャークェテオ(Char kway teow)は、炒粿條と書き、「かき混ぜて炒めた米粉の麺(クェテオ)」といった意味です。
シンガポールやマレーシアの一般的な麺料理の一つで国民食ともされており、もともとは中国広東省潮州地域が発祥です。
系統としては、タイ料理のパッタイに近いでしょうか。
ダークソースの味付けなので、もっと茶色くて、ビジュアル的には全く映えないのですが…
チャークェテオ✨
と聞いて、忘れていた記憶が急に蘇ってきました。
私には、かつて、シンガポールに住み始めた1990年代の初頭、ニュートンサーカスの近くに住んでいた頃に、お気に入りのチャークェテオのお店がありました。
いまはすっかり様子が変わってしまいましたが、当時は、ホーカーセンターのわきのブキティマロード沿いにも(郵便局の向かい側)、中華パオなどの点心のお店やインディアンロジャやロティプラタのお店などが連なっており、私が「おじいちゃんのお店」と密かに名付けた店も、その一角にあったのです。
痩せたおじいちゃんが1人で切り盛りしていて、大きな中華鍋をガシガシ揺らしながら作ってくれる一皿は、まさに絶品で
おじいちゃんの味を求めて多くの人たちが足を運び、店はいつも賑わっていました。
素早く空いた席を見つけて座るやいなや、まず最初にホームメイドのライムジュースを頼みます。ちびちびすすりながら、冷たい一杯で涼をとりつつ、気長に待つ時間は至福のひと時。なぜなら、「おじいちゃんのお店」に行くのはいつも、時間の制約のない、仕事の休みの日の月曜日の午後と決めていたからです。
途切れることのない注文。
せわしなく行き交う人々。
おじいちゃんは、一体いつ休むのだろう?
それにしても大変だなぁ
そんなことをぼんやりと考えながら、お腹が満たされると
さぁ、明日からも、しっかりがんばろう!
と、自分に喝を入れるのがお約束でした。
あの頃の私は、GoodWood Park Hotelの専属ピアニストとして働いていました。
「気取っちゃってなによ」
「ラクでいいよね」
時々、そんなふうに言われました。言葉がわからないと思って面と向かって罵倒を浴びせられるのです。
何も悪いことなんてしてないのに、意地悪だってしてないのに、どうして?
レストランのウェイトレスさんたちや厨房スタッフから中国語で陰口を言われるたび、ひたすら悲しみをこらえて、笑顔でピアノに向かう毎日でした。
日本人だから給料は3倍らしい
そんな根も葉もない噂を立てられ、妬まれたり嫌がらせをされたこともあります。
内情を知らない人が見たら、ピアノを弾いてお金をもらえるなんてお気楽、と映るのでしょう。音楽なんて、楽器を演奏するなんて、所詮道楽…どこにでも一定数いますよね、そんな先入観で決めつけて見下す人たち。
今なら年の功で、ガツンとやり返せるけれど(笑)
当時は言葉もうまく操れず、悔しさで枕を濡らす夜がしょっちゅうありました。
汗だくになりながら、くる日も来る日も、ひたすら鍋を振り続けていたおじいちゃんの姿から、何度勇気をもらったことでしょう。
あのお店の味が私にとってのチャークェテオなのです。
都市開発のため、おじいちゃんのお店がなくなってしまってから、何ヶ所かでチャークェテオを食べましたが、結局納得する味に、もう2度と出会うことはありませんでした。
期待しては落胆の繰り返し。
お腹はいっぱいになっても心には穴が空いたような切なさがこみ上げるのが常でした。
だから、ある日私は、チャークェテオを「卒業」することにしたんです。
以来、かれこれ30年近く、チャークェテオを口にしていません。
でも今回、藤井風くんのコメントに触れて、何だか久しぶりに「あの味」がとても恋しくなってしまいました。
おじいちゃんのチャークェイテオは、もう思い出になってしまったけれど、新しい味の開拓に、もう一度挑戦してみてもいいかな。
そんな気持ちになっています。
藤井風くんが好みのチャークェテオとの出会いを果たし、シンガポールの滞在を心から満喫してくれますように。
◆シンガポール豆知識◆
シンガポールは複合民族国家です。
そしてシンガポーリアンは小学1年生から英語と母語の勉強を本格的に始めるそうで、バイリンガルは当たり前。
さらに現地の方言などにも、幼い頃からおばあちゃんやおじいちゃんから口伝えで教えてもらって馴染んでいるので、「話せる言語は?」と尋ねると
「英語と、中国語と、マレー語と福建と、あと少し潮州(テオチュウ)もわかるかな〜。」
なんていうのが普通。言語習得のプロなんです。
シンガポールに住み出した頃、ローカルの人と話していていつも不思議に思うことがありました。時間に関係なく、話の内容にも関係なく、唐突に
「ところでご飯はもう食べた?」
と、必ずといっていいほど訊かれるのです。これは
「どう、元気?」
くらいの感覚で、そんなに大した意味がないと知ったのは、来星して10年以上経ってからです。こんなところにも文化の違いがありますね。
もし尋ねられたら
「もう食べたよ😃」
と明るく返しておけば問題なし。
会話に慣れてきたら、こちらからも訊いてみましょう。その時にこんな「ひとひねり」を加えると、一気に場の空気が盛り上がりますよ。
シンガポール人同士は、ある程度親しくなってくると、途中から福建語や潮州語に切り替えて会話をするんですよね。だから、それをマネて、北京語の
「つー ぱおら めいよー?」
ではなく、あえて福建語で訊いてみるのです。「ご飯を食べた?」は
「ちゃっ ぱー れお?」
です。私は何回も実験ずみ😆
驚きの声とともに、たちまち距離が縮まって、一目置かれること請け合いですのでぜひお試しあれ。
ちなみに則子先生の中国語は、全て耳から覚えたものばかり。長く住んでいるうちに自然と身につきました。
普段の会話では、あまり使うことはないけれど
ここぞ!
というときには、やはり威力を発揮するんだなぁと、折に触れ痛感しています。
「わかっているんだからね」という抑止力としても強力。ですので
私にとっての中国語は、シンガポール生活に、なくてはならない、いわば「必殺技」です(笑)
📌チャークェテオ
どこよりも手厚く、きめ細やかなピアノ指導で、シンガポール在住日本人ご家族との信頼の絆を築いて33年。
頑張ることを楽しむ心を育てる
当ピアノ教室のレッスンは、ワンランク上の心と音楽を学ぶレッスンです。
ピアノを学ぶことを通して、これからの時代を生きるために必要な「人間力」を育てます。
当ピアノ教室は、300人以上の生徒さんたちを育て上げた経験を持つ、シンガポールで一番長い指導歴の日本人のピアノの先生が主宰している出張専門のピアノ教室です。
1992年来星。シンガポールPR(永住権)保有者。
指導方針