【駅ピアノ撤去】シンガポールのピアノの先生として感じたこと。

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こんにちは。

シンガポールの出張ピアノ教室
fairy wish creation

講師の
塚越 則子(つかごし のりこ)です。

 

 

 

 

市民のための駅ピアノが、利用者のマナー違反が続出して苦情が殺到したために、撤去されることになったそうです。

 

 

 

 

関係者によると、苦渋の決断だったといいます。

 

 

 

 

2022年11月、兵庫県のJR加古川駅では「ストリートピアノ」のオープニングセレモニーが行われました。

 

 

 

 

加古川市が音楽に親しんでもらおうと設置したピアノには多くの市民が集まりましたが、このピアノは、わずか半年で撤去されるという残念な結果となりました。

 

 

 

 

1回10分程度という決まりを破り演奏し続ける人や、禁止されている歌いながらの演奏をする人、さらには酒に酔って演奏する人などルールを守らない利用者が絶えず、多くの苦情が寄せられたことが理由です。

 

 

 

 

このニュースを受け、音楽評論家の中では、日本のストリートピアノのスタイル自体に疑問を投げかける声も聞かれます。

 

 

 

 

マナー違反続出で「駅のピアノ」が撤去。海外とは明らかに違う、日本のストリートピアノの“つまらなさ”

 

 

 

 

このような意見は極端にせよ、いま、改めて利用者のモラルが問われていることは、間違いないでしょう。

 

 

 

 

◆誰かに危険が及ぶかもしれない

 

 

◆見知らぬ人に迷惑をかけるかもしれない

 

 

◆通りがかった人が不快な思いをするかもしれない

 

 

 

 

ピアノがあるために、その場所で働く人たちが、余分な心配をして今まで以上に神経を使い、新たな仕組みを導入する必要に迫られ、現場での労力が増えるのならば、わざわざ設置する理由など、どこにもありません。

 

 

 

 

あくまで私見ですが、最近のストリートピアノには、正直

 

 

 

 

行き過ぎだな

 

 

 

 

と感じるところがありました。それは

 

 

 

 

注目されたい

 

 

 

有名になりたい

 

 

 

 

といった 【承認欲求を満たすための演出】が、だんだんエスカレートしているからです。勘違いしたり、一線を越える人が出てきてもおかしくないですよね。

 

 

 

 

 

その目的のほとんどが、ピアノの腕を競うものではなく、YouTubeの再生回数を稼ぐためのものであることは、ピアノ愛好家のみなさんなら、よくご存知のことでしょう。

 

 

 

 

 

奇抜なアイデアで人目を引いて、ストリートピアノで演奏している様子をYouTubeに投稿し、自身の実益に結びつけるために動画編集に凝ったりと「見当違いの努力」にいそしんでいる「アーティスト」も珍しくありません。

 

 

 

 

私は、どんな理由があるにせよ、芸術の世界に「やらせ」を持ち込むことに抵抗を感じる側の人間の1人なので、アイデアが奇抜であればあるほど冷めてしまいます。

 

 

 

 

 

昨今では、本来の目的から外れたところで、ストリートピアノが勝手に独り歩きしているようなイメージさえします。

 

 

 

 

 

自信があるのならば、駆け引きなしの演奏で、真っ向から正攻法で勝負して欲しいです。

 

 

 

 

 

みなさんはどのようにお感じになりますか?

 

 

 

 

ピアノを演奏する時に一番大切な「心の力」とは。

 

 

 

 

私は想像する力だと思います。

 

 

 

 

ストリートピアノの周りに集まってくる人たちは、実にさまざまです。いろいろな事情があり、さまざまな思いを抱き、ピアノの音に惹かれて立ち止まる。

 

 

 

 

 

当ピアノ教室には、一時帰国の日本の街角でピアノを見かけたらストリートピアノデビューをしたいと胸を弾ませながら、日々、コツコツと健気に練習に励んでいるリトルピアニストたちがいます。

 

 

 

 

 

この春は、さまざまな規制が解け、久しぶりに一時帰国をした在星日本人の方が大勢いましたね。

 

 

 

 

この時をどんなに待ちわびたことでしょう。

 

 

 

 

「ずっと弾き続けているおじさんがいたから弾くのを諦めました」。

 

 

 

これは、春休みに一時帰国していたKちゃん(新中学1年生)から寄せられた言葉です。

しばらく待っていてもずっと弾いていて、一周して帰ってきてもまだ弾いていたとのこと。

 

 

 

 

「弾いていいですよ」

 

 

 

 

と言われたけれど、”弾けなくなっちゃったと”のこと。当たり前ですよね。こんな風に上から目線で言われたら「もういいです」と、白けた気分になるのは、思春期の少年少女に限らず、大人も一緒だと思います。

 

 

 

 

 

男性は、口ではそう言いつつも、決して席を譲らなかったそうです。なんとも大人気ないですね。子どもは大人の欺瞞を簡単に見抜きますよ。なぜ

 

 

 

「独り占めしちゃってごめんなさいね」

 

 

 

「さぁ、どうぞ」

 

 

 

 

の一言が言えなかったのでしょう。顔がきく「常連さん」で、感覚がマヒしているのでしょうか。

 

 

 

 

 

自分が演奏をしている時に周りに集まっている人たちの中には、順番を待っている人も含まれているという発想に至らない程に、演奏に入り込み、夢中になっていたのでしょうか。。。

 

 

 

 

 

この男性は、海外に住み、真面目に日々ピアノの練習を積み重ねている1人の少女が、コロナが落ち着いて待ちに待った一時帰国を無事に果たし

 

 

 

 

「日本でストリートピアノを弾く」

 

 

 

 

と、心密かに抱いていたささやかな夢を、無残にも打ち砕いたという事実を一生知ることはないでしょう。

 

 

 

軌道修正。

 

 

 

今回の駅ピアノ撤去の記事を読んで思い浮かんだのは、この言葉です。

 

 

 

 

今回、計らずとも意外な形で脚光を浴びたことは、ストリートピアノにとって、一つのターニングポイントとなると私は思います。

 

 

 

 

存在が世間に認知されて浸透した今、何かあれば、これまで以上に風当たりも強くなることは容易に想像できますが、批判をも真摯に受け止め、その都度適切な対策を講じることに尽力し、ときに原点に立ち返りながら、たくましく成長を続けて欲しいものです。

 

 

 

 

ストリートピアノの演奏によって注目され、報酬を得るようになったアーティストたちには、ストリートピアノを一過性のブームではなく、文化として根づかせる使命を背負っている自覚を持ち

 

 

 

 

YouTubeの再生回数やランキングを高めることばかりに意義を見出すことに躍起になるのではなく

 

 

 

 

演奏を聴いていただける環境があることに感謝し、観衆に敬意を払いながら視野を広く持ち、謙虚に内省を繰り返しながら、節度を持って、新しいエンターテイメントの世界を切り拓いて欲しいと思います。

 

 

 

 

音楽家としての真のプライドを忘れずに♬

 

 

 

則子先生のストリーピアノにまつわるエピソード。

 

 

 

コロナが流行する少し前、私は、みなとみらいの一角に設置してあったストリートピアノのそばで1人の幼い男の子と若いママの2人連れに出会いました。

 

 

 

 

 

「ピアノを習ってから、また来て弾こうね」

 

 

 

 

 

ステージの脇で、上がりたがる男の子をたしなめているママの声がしました。

 

 

 

 

 

それを耳にして、私は、お節介と分かっていてもたまらなくなり

 

 

 

 

 

「こんにちは。私はピアノを教えています。よかったら少し音を出してみませんか?」

 

 

 

 

 

そう話しかけて、ステージに誘ってしまいました。

 

 

 

 

 

「やさしくね、そっとね」

 

 

 

 

 

そう声をかけながら、慎重に伸ばす小さな指に手を添えながら鍵盤をゆっくりと押してみると、音に合わせて、豪華なイルミネーションがキラキラと光りました。そのような仕掛けがしてある、特注のピアノだったのです。

 

 

 

 

男の子の瞳に色とりどりの輝きが映しだされ、泣きそうになるほど美しかったのを覚えています。

 

 

 

 

「先生、ありがとうございました。息子共々、いい経験ができました。」

 

 

 

 

「この子、ピアノが弾きたくてたまらないんです」

 

 

 

 

「だけど私は何にも分からなくて」

 

 

 

 

「でも、絶対ピアノ習わせます」

 

 

 

 

 

ママは、頬を紅潮させて宣言してくれましたが、お礼を言いたいのは私の方でした

 

 

 

 

 

ピアノに興味を持ってくれてありがとう

 

 

 

 

 

そんな思いで心が温かく満たされたからです。

 

 

 

 

 

北風の強く吹く、年末の寒い冬の夜のことでした。あれから4年以上経った今、あの男の子も小学生になり、当ピアノ教室のリトルピアニストたちのように、ピアノを通じてたくさんの「はじめて」を経験しながら、スクスクと成長していることでしょう。

 

 

 

 

 

きっともう2度と会うことはないけれど、ピアノが紡いでくれた「偶然のふれあい」の瞬間を、私はずっと忘れません。

 

 

 

 

 

かじかんだ指を一生懸命に広げて、たどたどしく鍵盤を押すその音は、あの日のストリートピアノの記憶の中で、一番尊い響きとして私の心の中で今も鳴り続けています。

 

 

 

 

 

手厚くきめ細やかなピアノ指導で、シンガポールの駐在員日本人ご家族との信頼の絆を築いて30年。

 

頑張ることを楽しむ心を育てる 

 

当ピアノ教室のレッスンは、ワンランク上心と音楽を学ぶレッスンです。
 
 

ピアノを学ぶことを通して、これからの時代を生きるために必要な「人間力」を育てます。

 

 
当ピアノ教室は、300人以上の生徒さんたちを育て上げた経験を持つ、シンガポールで一番長い指導歴の日本人のピアノの先生が主宰している出張専門のピアノ教室です。
 
 

 
プロフィール
 
 

当ピアノ教室の指導コンセプト(教育理念)について

 

 

 

 
1992年来星。シンガポールPR(永住権)保有者。
 
 

 

 

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