こんにちは。
今日は音感についてお話しするシリーズの2回目です。

当ピアノ教室でもレッスンの際、音感についてのご質問をよくいただきます。

 

1回目では、「歌う電車」として鉄道ファンに親しまれている、京急電鉄のインバータ音を

「相対音感」(*1)を使ってドレミの音で回答しました。

 

前回の記事はこちら

 

 

 

ノイズを音階に近づけた周波数に調整しているので、電車が歌っているように聴こえるのですね。おもしろい発想です!

 

 

(*1)
「相対音感」とは、音楽を聴いた時、ドレミで聴き分けることのできる能力です。

 

 

音楽教育において、「相対音感」を使って耳で聞いた旋律や和音を聴き取り、楽譜に書き記すことを「聴音」といいます。

 

 

一般的には「耳コピ」(*2)と言った方がわかりやすいですね。

 

 

(*2)
耳で聴き取った音を演奏で再現するとき、聴音力の違いや演奏力、使用する楽器の種類や性能などによって

 

 

♣︎聴こえている音全てを完全に聴き取り(フルコピー)、スコア譜に起こし、音にする際はフルトラックを使用した多重録音にマイナスワン演奏を加えるなどの方法で完全に再現する

 

 

♣︎大まかな枠組みで捉えて、メロディやコードやメインハーモニーなど音の概要だけを活かして簡略化した形で再現する

 

など、「耳コピ」にも原曲の再現度の違いがあって内容は様々です。オリジナルとは別のアレンジを加えることもあります。

 

 

当ピアノ教室では、生徒さんからJ-POPやアニメソングなどのリクエストを受けてオリジナルのピアノソロの楽譜を作成する時は、メロディやコードはそのままコピーしてオリジナルの雰囲気はそのままに、かつ弾きやすいようにアレンジしますよ。

 

 

 

 

 

 

さてここで質問です。
Yes or No どちらでしょうか?

 

 

 

【ありとあらゆる生活音全ての音がドレミで聞こえる、ドレミで答えられることが絶対音感を持っているということだと思っています】

 

 

 

 

 

もし答えがYesだとしたら、ごめんなさい!
残念賞です。

 

 

 

日常生活の中で耳にする音は、音階に当てはまらない音で溢れています。

 

普段聞いている、音楽以外の生活音は、音階上の周波数の隙間にある音、たとえばドとドの半音上の音の間にある音、ミでもないファでもない、その中間の音、など、音階の枠組みから外れた、鍵盤と鍵盤の間の周波数の音がほとんどです。

 

 

京急電鉄のインバータ音も同じで
インバータが加速するに従って周波数が変化して、音の階段上の音に近い最初の音から次第にスライドするように、どんどんズレていってます。

 

特に後半はかなりズレて、音階の枠から周波数が大きく外れているためピアノの鍵盤上で同じ音の再現は不可能な域なのですが、あえて前回はそのズレを感じとってもらうためにドレミに当てはめた苦しい四捨五入をして、「相対音感的回答」をしました。。。

 

 

では実際に音を聴いてもらいましょう。

 

 

最初にインバータ音。

 

 

 

 

続いてわかりやすいようにインバータ音の音色のようなストリング系を使ってクラビノーバで弾いてみたのがこちら。

 

 

 

おかしい、違う! 一緒の音じゃない!
そう感じますよね?
後半は明らかに違って聞こえるはずです。

 

インバータ音と同じ音は鍵盤上には存在しないため、鍵盤楽器で再現することはできません。

 

 

音の階段ではなく音の坂道で音を出す楽器ならば、音の周波数を聴き取り、同じ音の再現が可能です。

 

 

ピアノのように音が周波数で段階的に分かれている楽器ではなくギターやバイオリンのように、なめらかに音が移動できる弦楽器、または鍵盤楽器でもシンセサイザーやキーボード、エレクトーンに搭載されている「ポルタメント」という特殊な機能を使えば鍵盤と鍵盤の間の音も再現することができます。

 

 

ギターを演奏されるお父さんは、チョーキングで音の階段を崩していくイメージを想像してみて下さい。チョーキングはポルタメント奏法の一つですよ。

 

 

 

の解説

声楽や弦鳴楽器演奏などで、ある音から次の音への移行を、途中にある音を経過させながら滑らかに行う技法。

goo 辞書より ポルタメント

 

 

 

 

 

 

私の場合は絶対音感があるため
耳に入ってくる生活音の持つ周波数が、偶然に音階と僅差(±2Hzくらい)の音であれば、それが言語のように自動的に耳の中でドレミに変換されて聞こえます。(鳴ります)

 

 

 

次回はシリーズ最終回。

音楽業界に身を置き、小学生時代から40年以上音楽の仕事に携わってきた立場から、プロ、アマチュアの枠を超えて、実際に楽器演奏に本当に必要な音感とは何か?またその理由などを交えて、シリーズのまとめとします。

 

お楽しみに。