こんにちは。
シンガポールの出張ピアノ教室
fairy wish creation
塚越 則子(つかごし のりこ)です。
1992年来星。シンガポールで1番長い指導歴の日本人ピアノ講師です。
当ピアノ教室は、シンガポール政府のお教室ガイドラインを遵守した、出張ピアノ教室です。
シンガポールのピアノレンタル業者さんのショールームで待っていた良品のヤマハアップライトピアノ。
昨日は午前中、当ピアノ教室の生徒さんのお母さんからのご依頼を受けて、ピアノレンタル業者さんのショールームに行ってきました。
普段滅多に行かないエリアへの遠征なので、ちょっとした遠足気分でしたよ。倉庫街ということもあってシティとは辺りの様子も一変してローカル色が、かなり濃厚です。そばにはコーヒーショップも。もちろん日本人率ゼロです。
コロナ禍のため、レッスンでの移動は、市中感染への警戒からタクシー利用をメインにしていることもあって、歩数が激減しているこの数ヶ月ですが、昨日は久しぶりに一万歩以上歩いて、良いエクササイズになりました!
ショールームでは数ある展示品から選んだ数台を順番に試弾し「これならOK」と納得した2台のヤマハのアップライトピアノを選びましたよ。
コンディションも非常に良く、ピカピカに磨き上げてもらっていて、大切にされている様子が手に取るようにわかります。
ずらっと並んだピアノ達は、エアコンで適温に保たれた部屋で快適に過ごしているのでしょう。どれも伸び伸びとした、艶のある音を奏でていましたよ。
昨日選んだのは、当ピアノ教室でピアノを初めて習い始めて、レッスン歴10か月目に入る女の子の生徒さん(小学1年生)のためのアップライトピアノです。
この生徒さんは、当ピアノ教室でレッスンを始める前に、あらかじめ個人売買で入手されていた、中古のCASIOセルビアーノを所有されていますが、レッスンの後、娘さんのピアノレッスンに熱い情熱を注いでおられるお母さんと音楽談義を楽しみながら、宿題の確認などの会話を交わしていると
最近娘のピアノが、グングンと上達してくるのを実感するにつれ、もっと良い音や良いタッチで弾かせてあげたい気持ちが日増しに高まってきているんです〜♪
という、嬉しいお言葉を頻繁にいただくようになっていました。
最初は、単に軽い会話でしかなかったのですが、流れが一気に急展開して、アップライトをお家に迎えることが現実味を帯びてきたのは、つい先週。
直接のきっかけは、レッスンの最後の時間にリクエストを受けて私が弾いた「エリーゼのために」です。
中古の古い電子ピアノではうまく弾けない!
お母さんはピアノ経験者のため、私が多くを語るまでもなく、中古の電子ピアノの持つ問題を、ご自身の演奏を通して理解されつつあったようです。ざっと説明をすると何度も深く頷いて納得しておられました。
鍵盤の戻りが遅く、指の打鍵スピードに追いつかないため音がブレる、鍵盤が横揺れするので、速いパッセージ(メロディライン)の時、上手く音が出ない、タッチの違いによって、不規則に音に周波数の高い電子音が混じる
これらは、ここ数年の現行モデルではかなり改善されていますが、中古のCASIOの電子ピアノではよくあることとして、ピアノ指導のプロの間では広く知られた一般的な問題点です。
電子ピアノは様々なメーカーから発売されていて選択肢が豊富にあります。
そんな中で、楽器専門メーカーとして長年の歴史を持つヤマハ、カワイと比較して計算機メーカーのCASIOは、鍵盤楽器に関して持ち併せている知識や技術の質、量などが圧倒的に後者のため、お子さんのピアノ教育への、長期間の使用にはお勧めしません。
これらの理由から、中古のCASIO電子ピアノは、超ピアノ初心者の生徒さんがピアノ導入期に使用する「ピアノ入門の鍵盤楽器」に限定されることを、最初にご理解いただく必要があります。
この生徒さんのお母さんは、ご実家にアップライトピアノをお持ちで、高校卒業までピアノを習い、高校時代はソナタを弾いていたそうです。
改めて最近の状況を伺うと、娘さんのピアノレッスンを開始する前、電子ピアノを入手して楽器が家に来た時は、とても嬉しくて、時々娘さんの宿題の曲を弾いてみたり、毎日のように一緒に連弾をしたりして楽しくしていたそうですが
次第にタッチや音に満足できなくなってきたばかりか、ご実家のピアノにはない鍵盤の違和感を感じて、思うように弾くことができないことが増えてフラストレーションが溜まり、だんだん弾くのが嫌になってきて、キーンとした電子音も耳につくようになり、、、
そんな理由で最近はピアノへの気持ちが過熱していくのとは裏腹に、弾くことから次第に遠ざかっていたとのこと。。。
ああ、そんな。。。(涙)
こんな衝撃的な実情を知ってしまったら、もう放っておくことなど私にはできません!
今後、あとどれくらいシンガポールの駐在期間はあるのか大まかな予想を伺い、娘さんのこれからの成長曲線も見据えて考え、レンタルピアノの利用が最適と判断して早速ご提案したところ、お母さんの表情は一瞬にして明るくなり、その場で一気にピアノレンタル業者さんへの訪問の話がサクサクッ!と、まとまりました。
ただ、スケジュールの都合でどうしてもご一緒できる時間が取れなかったため、私が先に行って楽器の候補を絞り、時間差で数時間後にお母さんと生徒さんが試弾して最終決定をして契約をする段取りになりました。
お母さんの行動力に勝利の女神は微笑んだ!
このお母さんの、特に際立って素晴らしいところは、チャンスを目の前にしたときに、ためらわずに即行動していく決断力、そして状況に応じてフレキシブルに対応していく柔軟性です。
ライフスタイルそのものが時代の先端を走っていますよね。昭和の時代はじっくり時間をかけて吟味して誰かと相談してから、が賢い選択の際の王道とされていましたが、令和の今、状況に関係なく、のんびりと昔ながらのスタイルを押し通していたら、完全にチャンスを逃してしまうばかりか、場合によっては周りに迷惑をかけてしまいます。
時は2020年。コロナをきっかけに時代の変化はさらに加速して、昨日と同じ今日の現実は保証されていないことを世界中の誰もが実感している大変革期に私たちは今、生きています。
もとより、シンガポールに暮らしていると実感することの一つですが、日本と違って、お店での商品管理はどこもユルユルなので、商品の保証は、ほぼないに等しく
「今日見たらすぐに買わないと明日は同じものはないと思え」
とも言われているくらいですから、行動力と決断力は、シンガポールで楽しく幸せに暮らすために何よりも必要な手段とも言えます。
実際のところ、アップライトピアノが家にある生活に憧れている人にとって、とても良い状態のヤマハのアップライトピアノのレンタル料1ヶ月分が、シンガポールでの日本人家族4人の週末の軽いランチの外食1回分と同等の金額だなんて夢のような話だと思いませんか? 日本では、あり得ないことです。
その謎を解くヒントはショップにありました。シンガポール島内でも都心部からかなり遠くの端の方の倉庫街にショールームを構え、その他にもピアノレンタル料金を低く抑える様々な工夫をしながら経営努力を重ねているようです。
商売よりもピアノ愛、ですね。その立派な心意気に私も胸が熱くなり、良心的な業者さんとのご縁に密かにガッツポーズです。時間をかけてあちこち探した甲斐がありました。
この生徒さんのお父さんは現在日本におられ、コロナ渦の影響でシンガポールへの再入国の認可を待っていたのですが、最近やっとシンガポールへ戻られる日程が決まったそうです。
お母さんは幼い二人の子供を抱えて、不安な毎日の中を過ごされていることは容易に想像できますが、果敢に幼稚園生と小学校低学年のお子さんをワンオペ育児されて、いつも明るい笑顔を欠かすことがありません。
今回のピアノレンタルに関しては、ショップへの問合せや見学の予約、契約まで全てお母さんお一人でこなされました。決して簡単にできることではありません。
ショップのある場所は、シティからかなり離れた場所にあり、シンガポール在住29年の私でも初めて訪れたエリアです。
子育てに専念されているお母さんですし、ショップのスタッフとのメールや契約書のサインなどの気の張る手続きや作業を全て英語で、しかもたった一人で全てこなしていくのは、さぞかし心細いだろうと想像しながら、同行できなかったことを後悔しつつドキドキしてメッセージを待っていると
無事契約完了のメッセージが飛び込んできました。よかったですね、お母さんの行動力が導いた勝利です!
待望のアップライトピアノが届くのは来週の初め。お母さんの勇気ある一歩が生んだ、新たな歴史を刻む扉を開く「アップライトピアノ初レッスン日」は、もう、すぐ目の前です。