こんにちは。
シンガポールの出張ピアノ教室 fairy wish creation
講師の 塚越 則子(つかごし のりこ)です。
先日、大人ピアノレッスン生 Nさんから、こんなご質問がありました。
「先生、オクターブのトレモロを上手く弾く秘訣ってありますか?」
Nさんは4歳から中学3年生までピアノを習っておられた上級レベルの生徒さんだけあり、ご質問も高度な技術の習得に関しての内容が多いです。
トレモロとは、同じ音を反復させたり、2つの音を反復させたりする奏法のことですが
ただ反復させればよいのではなく、かなり速いテンポを求められるのが難しいところ。
トレモロには大きく分けて2種類あり、1つは同じ音を反復させるもの、もう1つは2つの音の間を反復させるものですが
Nさんが現在練習中の、ベートーヴェンの悲愴の第1楽章には、左手のオクターブの2音を反復させるトレモロが多用されており、ここを上手く攻略できれば演奏の質がグーンと上がるとあって、仕上げの段階に入った今、トレモロにフォーカスした練習に励んでおられるというわけです。
結論から先にいうと、トレモロ奏法を成功させる秘訣は
指で弾かないで「手首の回転」で弾く
こと。
指をバタバタ動かして弾くと、だんだん手首や肘に力が入り始め疲れてスピードが落ちてきて、長く弾き続けることができません。
まるで、マラソンの途中で力尽きて倒れてしまうように…..
指がいうことを聞かなくなり、演奏をストップせざるを得なくなるのです。
力の抜き方を分かっている方やトレモロの弾き方のコツを掴んでいる方は、仮に力が入ってしまっても途中で力を抜いてチャージをして「立て直す」ことができますが、知らないでいるとパワーはどんどん消費されていくばかり。
とにかく指だけを頑張って動かさないというのがトレモロを上手く弾く最大のポイントなのです。
手首の回転を使うというと肘を固めて手首だけを動かそうと頑張られる方がおられますが、そうではありません。
手首だけが動いているように見えるかもしれませんが、実は肩から肘、そして手首を連動させて動かします。
指は《その音の間隔に開いて、ただ置いているだけ》というイメージです。
指先は鍵盤を弾いているという感覚ではなく、肘や手首の動きによって鍵盤に当たっているというニュアンスで、指先に意思はなく肘や手首に操られて弾かされているという感覚が身についてくれば、あとは時間の問題。
緊張した時に手が震えたという経験が誰にでも1度はあると思うのですが、その時のことを思い出してみるといいですよ。
自分では動かそうと思っていないのに勝手に手が左右に小刻みに動きますよね?
あの状態がピアノのトレモロ奏法に理想的な動きなのです。
ちなみに、トレモロとはイタリア語で「ふるえる」と言う意味です。
こちらの写真は私。
ふるえているのが伝わりますか?(笑)
レッスンで撮影したビデオを観ながら動きとフォームを研究していただくのが今週の宿題です。
トレモロを上手く弾くには、その前の段階の脱力の感覚をマスターしている必要があります。すべて積み重ねなんですね。
Nさんにトレモロの攻略法を伝授すると
難しそうだけれど、新境地が開けた感じで嬉しいです✨
と語ってくださいました。
かつてのレッスンでは、速い動きや激しい曲に挑戦しなかったので、これからは違うジャンルにも、どんどん挑戦してみたいそうです。頼もしいですね!
最後に、ピアノを習いたての子どもの、ご家庭での練習へのプチアドバイスをひとつ。
◆狙った大きさや音質の音を出そう
◆絶対にミスしてはいけない
ということだけにとらわれ、強く意識する習慣がつくと、腕をしならせる効率の良い弾き方や脱力など、正しい身体や腕の使い方を習得する妨げになってしまう危険があります。
特にピアノ経験者の保護者の方は要注意。お子さんの練習中、たとえおかしな音がしたとしても
そこ、違うよ!
と、即座に反応して指摘するのは、なるべく控えるようにしましょう。
トライ&エラーを繰り返しながら一生懸命、手や身体の動きを自分のものにしようとしている最中かもしれませんよ。
どこよりも手厚く、きめ細やかなピアノ指導で、シンガポールの駐在員日本人ご家族との信頼の絆を築いて31年。
頑張ることを楽しむ心を育てる
当ピアノ教室のレッスンは、ワンランク上の心と音楽を学ぶレッスンです。
ピアノを学ぶことを通して、これからの時代を生きるために必要な「人間力」を育てます。
当ピアノ教室は、300人以上の生徒さんたちを育て上げた経験を持つ、シンガポールで一番長い指導歴の日本人のピアノの先生が主宰している出張専門のピアノ教室です。