こんにちは。
シンガポールの出張ピアノ教室
fairy wish creation 講師の
塚越 則子(つかごし のりこ)です。
今日は、タイトルにあるように
幼児さんの個人ピアノ指導で、見落としがちだけど実はとっても大切なことについて、長年の指導経験から得た、私なりの見解をお伝えします。
結論からお話すると、すごく大切なこととは
指導のときの声の高さ
です。
私は、幼児さんと一対一でレッスンで接するとき、近くで高いトーンの声色で話をしたり、いわゆる「アニメ声」を使うことをしません。なぜなら
幼児さんには、年齢に合った声の高さがあることを知ったから。
せっかくピアノを習って、音楽の耳を育てようとしているのに、指導者自ら耳によくないことをレッスンでするなんて、本末転倒だと思いませんか?
まだピアノ指導の経験が浅い、3年、5年目のかけ出しの若かりし頃
幼い子どもへの指導のときには、なるべくテンションを上げて
普段よりも高いトーンで話かけるのがいい
そう思い込んで、張り切って明るく大きく、まるで頭のてっぺんから響くかのような、高い声を心がけていた時期がありました。
はっきり、ゆっくり (←これらは 今も継続しています)
生徒さんたちも笑顔だったし、それが相応しいと信じて疑わずにいたのです。
保護者の方にとっても「子どもの扱いに慣れている先生」のイメージがしませんか?!
しかし、指導の経験を重ねていくうちに、それは大人の側の勝手な思い込みであり、指導者の独りよがりだということに、ふと気がついたのです。なぜなら
ご自宅の楽器が電子ピアノの生徒さんを注意深く観察していると、メーカーによって、また設定によって高い、硬い音がするとき
そーっと弾いたり、音量を下げる生徒さんが実に多かったから。
ピアノの音に変わりないのに、少しボリュームを上げただけでビクッと震えたり、手で耳を塞ぐような仕草をして嫌がる生徒さんもいました。
無理もありません。
子どもの耳は、大人と聞こえ方が明らかに違っているからです。
みなさんは、「モスキート音」という言葉をご存知ですか?
あなたの耳年齢は? 若者にしか聞こえない”モスキート音”の謎。
子どもには大人には聞こえない高い周波数の音が、はっきりと聞こえています。
ですから大人は、神経質なくらいに「聞こえ方」に配慮する必要があるのです。
あえて言うまでもなく、普段から音に対してセンシティブな反応のお子さんほどピアノの上達も早いです。
耳の機能が最も発達する、一生のうちで一度だけの大切な幼児期の数年、暮らしの中でも耳に余計な負担をかけない工夫を心がける習慣をつけ、繊細な耳を守ることが音感トレーニングにも繋がります。
指導者が高い声で話しかけるということは、その場の雰囲気を明るく盛り上げよう、レッスンを円滑に進めようという気持ちから発生している行動ですから、心がけとして決して悪いことではないと考えます。
ただ、幼児さんのレッスンだからと言って、無条件にテンションを上げ、軽いノリで、高い声で話しかけるのがいいと決めつけることが、いかに無知で危険かということがお分かりいただけたでしょうか。
以前、幼児救育のベテランの意見を偶然耳にする機会があった時「大人が高い声で、いつも幼児に話しかけていると、子どもは無意識に聞き流すのが習慣になり(不快な音のため)、内容をスルーして頭に入らず、集中力も養われず、勉強も思うようにはかどらない」ということを、音の周波数の話と絡めて具体例と共に説明しており
「なるほど! 私が常日頃、肌で感じていたことを、まさに立証してくれている!」
と衝撃を受けて以来、私は、かつての自分の知識不足を恥じ、幼児さんの指導の時の、会話の声の高さや音量に、ことさら神経を配るようになりました。
もともとの地声が少し高めなので、嬉しくなった時の「飛ばし過ぎ」に注意しています。
当ピアノ教室では、落ち着いたトーンで話すと《大人扱い》されたような気がするのか、俄然やる気が増して、凛とした表情でサラッと壁を乗り越え、本人も驚くような結果を出す幼児さんが多いです。
褒める時には「ゆっくりと」「頷きながら」「低い声で」「感心」した様子を示すと、心により響くみたい。
派手に叫んだり大声で絶賛するのは、むしろ逆効果。大人しかったり早熟なお子さんの場合、黄色い声がした途端に驚いて「ドン引き」してしまう恐れもあります。(照れ臭くて固まってしまうお子さんも中にはいますが…笑)
4歳、5歳、6歳の子どもたちは、この世に生を受けて、まだたった数年とはいえ、もう、全てにお世話を必要とする乳児ではありません。
ナーサリーや幼稚園に入り、集団の中で社会性を身につけ、「ひとりでできる」成功経験を積んで自信を育み、「一人前」に扱われることでプライドが満たされるお年頃であり、成長することに日々喜びを実感しながら、一瞬一瞬を全力で生きています。
ですから、自宅だからといって「赤ちゃんみたいな扱い」をして
ご機嫌を伺うようなピアノレッスンなんてもったいない!
「背伸びしたい気持ち」「前に進みたい気持ち」を、ほんのちょっぴり刺激してあげるだけで、埋もれた才能を無理なく引き出していくレッスンが可能ですよ。テクニック次第でね。
シンガポールの出張ピアノ教室/リズム打ちに挑戦の4歳さん「カンタン過ぎ!」
とはいえ、時には例外もあります。それは
リトミックなどのグループレッスンやオンラインでの指導、また、大勢での音楽イベントなど。
オーバーなくらい声のトーンに抑揚をつけたり、ダイナミックに大声をあげたり、ミュージカル女優さながらに(笑) テンション「アゲアゲ」で挑みます。目安は《実年齢より2歳下》への接し方。
ワンセッションが終わるとぐったりして、放心状態になり、しばらく何も手につかないほどですが、これくらいの勢いで引っ張らないと、子どもはついてきません。
全て同じようにというわけではないんですね。
幼児さんへのピアノ指導と一口に言っても、一人一人の音への感じ方は千差万別。指導者には、技術的なことの指導力以前に、生徒さんによって、またシチュエーションによってその都度声の種類を使い分けるくらいの繊細な心配りや、音への美的センス、感受性の鋭さが求められます。
ピアノは情操教育であり、芸事ですからね。
難しい?
複雑?
確かにそうかも知れません。
しかし、だからこそ人生をかけて打ち込み、より深く学んでいく価値があるというもの。
ご両親は、大切な我が子の音楽人生を委ねてくださっているのですから
その信頼に全力で応えてこそ一流のプロ!
そう思いながら、私は一人一人と日々、丁寧に向き合っています。
手厚くきめ細やかなピアノ指導で、シンガポールの駐在員日本人ご家族との信頼の絆を築いて30年。
頑張ることを楽しむ心を育てる
当ピアノ教室のレッスンは、ワンランク上の心と音楽を学ぶレッスンです。
ピアノを学ぶことを通して、これからの時代を生きるために必要な「人間力」を育てます。
当ピアノ教室は、300人以上の生徒さんたちを育て上げた経験を持つ、シンガポールで一番長い指導歴の日本人のピアノの先生が主宰している出張専門のピアノ教室です。