こんにちは。
シンガポールの出張ピアノ教室
fairy wish creation
塚越 則子(つかごし のりこ)です。
初対面の人に、自己紹介で「ピアノを教えています」というと
「それなら絶対音感がありますか?」と質問されることがたまにあります。
手をパーンとたたいたり、コップをチーンと鳴らして「じゃあ、これって何の音?」と質問が続くこともあります。
日常にある様々な音は、音階に当てはまっている音は殆どないので、ドレミファソラシドの枠では簡単に片付けられないのですが、きっとその質問に対してドレミで即答することが「絶対音感がある証明」だと信じる人がいるのでしょう。
一般の社会では「音感」についてあまりに知られていないことが多すぎて、音楽のプロとして伝えたいことがたくさんあっても恐縮してしまうのが常です。
プロの仲間内ではあえて詳しく話さないマニアックな音感の話について、前回のシリーズに続き、今回は私の話も交えながら書いてみます。
前回のシリーズから読んでいただくと、音感についての理解がより深まりますよ。
絶対音感と相対音感の双方から回答します。鉄道マニアで話題となった、京急vvvfインバータの「ド、レ、ミ」
音感には絶対音感と相対音感の2種類があります。
簡単に説明すると
絶対音感とは、「歌のメロディーや楽器で演奏された音楽の音名がわかることはもちろん、日常生活において耳にする雑音なども、音階に当てはまっている音であれば聞き分けて答えることができる音感」
です。それに対して
相対音感とは「歌のメロディーや楽器で演奏された音楽の高低を正しく認識して音階で答えることができる音感のこと」で、音の高低を認識する感覚は、音楽に関係なく殆どの人が当たり前に持っています。
ピアノなどの楽器を習うと、習得の過程で音感が磨かれていき、より正確な相対音感が養われていきます。音楽を聴くと音名での聞き分けができるようになった結果、聴いた音での演奏が可能になっていくのです。相対音感はもともと誰もが持っている音楽への感覚に、さらに磨きをかけて研ぎ澄ましていくものなので、特別な能力ではありません。また何歳までに、という臨界期はなく、音楽に親しむことで何歳からでも身につけることができます。
耳で聴いたメロディや和音を聴いた通りに演奏する、いわゆる「耳コピ」は相対音感を使っています。
これは何の音?といって、食事の場などでコップをチーンと鳴らして音を聞かれた時に困るのは、日常の雑音には音階の周波数とぴったりなものは少ないからです。
たとえば、450ヘルツくらいの音がなったら「ラ(440ヘルツ)と、ラ♯(466ヘルツ)の間かなぁ。どっちかといえばラに近いけど、なんとも言えない音だなあ。」みたいな硬くて面白味のない答えしかできないので、とても困ってしまうのです。
街で聞こえた音をドレミで聴音?
日本に一時帰国すると感じるのですが、日本はシンガポールよりも日常生活の中に様々なメロディが溢れていますね。
かすかにどこかから音楽が聞こえた瞬間から、私の頭の中では聴音(音を音階で聴きとること)がスタートしています。
♣︎電車が到着したとき
♣︎スーパーの中
♣︎コンビニの入り口
♣︎レストランで店員さんを呼ぶベル
親しい人といるとつい、聞こえたメロディをドレミで歌ってしまったり、ハーモニーをつけてハモったり、周波数のズレを指摘してしまうことは日常茶飯事です(笑)
私はリズム感強化のためにドラムを習っていたので、日常生活で音階とともにリズムも気になります。
たとえば
スパでは、流れている「癒し系BGM」のプログラミングされた波の音や鳥の鳴き声の入るタイミングの法則を探し当てて頭の中でカウントしながら聴いてしまうため、ボリュームが大きいと頭が冴えてしまいリラックスできません。。。
音楽が聞こえると、自動的にそちらに集中して「他がお留守」になってしまうため、音楽を流しながら仕事は絶対無理です。。。だけどテレビや人の話し声ならば問題ありません。
あと1か月もすると日本では秋の虫たちが自慢の鳴き声を披露する時期です。
今年はきっといつもより華やかなメロディの競演が繰り広げられることでしょうね。