こんにちは。
シンガポールの出張ピアノ教室
fairy wish creation 講師の
塚越 則子(つかごし のりこ)です。
今日は、個人のピアノ教室でピアノを習う時、お家の方に知っておいていただきたい、ごく一般的なマナーについてのお話です。
改めて考えてみるまでもないことですが、意外といい加減になっていることも多いのではないかと思います。ご家庭でレッスンを受ける出張レッスンであればなおさらのこと。
しかし、当たり前なことを疎かにしないで、意識してキチンと取り組むと、お互いに気持ちよい関係を築けるだけではなく、スムーズな上達に結びつくのだなぁと、日々のレッスンで実感している昨今です。
ピアノ教室によって色々な教育方針や先生の考え方がありますが、当ピアノ教室で大切にしているマナーは、たったひとつ
元気に声を出して、ごあいさつをしましょう
至ってシンプルです。
ピアノのレッスン、ピアノ教室、と一口に言っても、色々あります。
一昔前は、ピアノのレッスンといえば、レベル云々に限らず、どの先生に指導を仰ぐ時でも、ある一定の「お作法」のようなものが存在したのですが、今ではすっかりそれらの常識も過去のものとなりつつあります。
しかし、今でも、大学の先生や全国レベルの著名な先生、きちんとした経歴を持つ、音楽の世界でキャリアを積んだベテランの先生にご指導いただく時には、知っておいたほうが良い「マナー」が存在するということは、子どもにピアノを習わせる親の知識として頭の片隅に置いておいて損はありませんよ。
保護者の方々の中には、ご自身が子どもの頃に芸術系のお稽古事などを経験されたことがなく、「お稽古事」や、「先生と生徒」という世界にご縁がなく、これらが未体験ゾーンな方もおられます。
もちろんそれ自体、悪いとか良いとか言う話ではないのですが、ご自身の経験や感覚だけを頼りにして、知っている世界の常識に全てを当てはめて判断をしようとしたり、子どもの教育を進めていこうとするのは正直、とてももったいないです。なぜかというと
子どもの可能性の芽を、知らないうちに摘んでしまう場合がある
からです。
少し厳しい言い方になってしまいますが、悪気があるわけじゃない。ただ、知らないだけ。
だけど、そのことが非常識であることを知ろうとしないのは、とても残念だと思います。
「ごあいさつができるようにしましょう」
と私がお願いするのは、私に敬意を示してくださいという意味ではありません。
もし将来、ピアノをもっと極めてみたい、本格的にもっと学んでみたい
そう思った時に、ごあいさつができている、できていないでは、先生の対応は、実際驚くほど異なります。お稽古ごとのマナーが身についていなければ《心構え自体できていない》と判断されて、指導を仰ぐことは許されず、門前払いのことだってありますが、それでも文句は言えません。信じられないかもしれませんが、芸事の世界とは、今も昔も「そういうもの」なのです。
「いいえ、うちは趣味で楽しく弾けるようになることが目的なので、ごあいさつなんて関係ありません」
そうお感じになる方もおられるでしょう。「ごあいさつ」と聞いただけで厳格な世界をイメージして抵抗を感じる方もおられるかもしれません。
しかし、趣味で習うにしても同じようなことが言えます。
「ごあいさつ」が日頃からきちんとできていない子どもには、「指導を受けること」の本質を理解できず、伸びるチャンスを得ることができません。
最初のうちは問題がないように見えても、ちょっと弾けるようになって、自信が芽生えてくる頃になると「自己流」でやりたがるようになり、間違いを注意されると不快感を示して逆らったり、レッスンへの意欲自体を失うようになります。自分のペースで「自分の好きなように」やりたくなるのです。全部わかったような気持ちになっているので
「もう自分は教わらなくてもできるんだから」
「うるさいよ、黙ってて」
「好きにさせてよ」
というわけです。(本人は意識していないかもしれませんが・・・)
私はシンガポールでピアノ指導を始めたばかりの、まだ20代後半の頃
❤︎小さいし、まだごあいさつができなくてもいいわ
❤︎可愛いからいいわ
❤︎本人も楽しんでいるんだし、注意して水をさしてしまうのは雰囲気を壊してしまうし良くないわ
そう判断し、指導の場で甘やかしてしまった経験が何度かあります。結果、生徒さんはいつまでも遊びの気分が抜けず、注意に耳を傾けなくなり、間違いを指摘するとふてくされたり、不快な表情で制止されてしまうようになり、ずいぶん悩みました。
これではレッスンとして成立しません。上達も頭打ちになってしまいます。もっと伸ばしてあげたいと思っても、本人が嫌がるのですから、それ以上無理強いをすることはできません。
「ごあいさつ」の子どもに与える影響の大きさに気がついていなかった、あの頃の自分の未熟さを、私はとても反省しています。「ごあいさつ」は子どもにとって大切なケジメの一つ。レッスンモードへのスイッチオンの合図なのです。
こんな話をしても、にわかに信じてもらえないかもしれません。でもやっぱり「歯車が狂ってしまう根本的な原因」を突き詰めて考えた時、結局そこに行き着いてしまうのです。日頃から「ごあいさつ」ができるようにと、お子さんへの働きかけを徹底し、努力や工夫を重ねているご家庭の生徒さんには、不思議とそのような「挫折」は一切起こらないからです。
何も厳しく叱る必要などありません。周りの大人が毅然と、ブレずに一貫した態度で根気よく取り組めばいいだけです。
私が「ごあいさつ」を大切にしたい理由は、自らの苦い経験から得た、生きた教訓。
だから、これだけは、ピアノ指導者として絶対に譲れないことをご理解いただけますと幸いです。
「礼に始まり礼に終わる」
これはいつも、当ピアノ教室の生徒さんであるWちゃん、Mちゃんのお父さんがレッスンのたびに2人にかけている言葉です。
ご自身も、幼少時から中学生までにピアノを習ったピアノ経験者。当ピアノ教室の大人ピアノの受講生のお一人でもあります。
7歳、5歳の2人に、この言葉の意味は全くわかっていないと思いますが《何か大切な、守らなければいけないものなんだ》ということは幼心にシッカリと刺さっているようで、遊びに夢中になっているときや、うまく弾くことができなくて悔し涙に暮れている時も、始まりの「よろしくおねがいします」と、最後の「ありがとうございました」のごあいさつを粗末に扱ったことがありません。これはなかなかできることではありません。立派だなぁといつも感心しています。
お留守番レッスンの時でも、誰にも言われていないのに、1人でちゃんとごあいさつができるのですよ。「レッスではこうする」という形が、頭の中にしっかりとインプットされているのでしょう。
【元気よく、ごあいさつができるようになる】、それは上手にピアノが弾けるようになることよりも大切なことだと私は思っています。
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