こんにちは。
シンガポールの出張ピアノ教室
fairy wish creation
塚越 則子(つかごし のりこ)です。
1992年来星。シンガポールPR(永住権)保有者。
シンガポールで1番長い指導歴の日本人ピアノ講師です。
シンガポールは日本とはピアノ教室の事情が異なり、講師の自宅でお教室を開講することは法律で認められていません。
当ピアノ教室は、シンガポール政府の定めた法律を遵守した、講師が生徒さんのお宅に出向いてレッスンを行う、出張ピアノ教室です。
Q&Aシリーズ⑩
先生のお宅でのレッスンはありますか?
さて今日は、【ピアノの音を作る職人】調律師さんについてのお話です。
2018年に上映された映画「羊と鋼の森」をご存知ですか?
第13回本屋大賞を受賞した同名の小説は、ピアノ調律師の世界を繊細なタッチで描いている作品です。
ピアノ調律師の仕事の日常を、深掘りし過ぎることなく、わかりやすい口調を使いながら、丁寧に描いています。
私は、一時帰国をしている時、友人が購入して準備をしてくれていたDVDを一緒に鑑賞したのですが、比喩的な表現などを多く使いながら、受け取る側の感性に委ねる、控えめな優しさを持つ作者の視点に共感を覚え、作品からは音の持つ無限の可能性や、宇宙的な広がりを感じました。
観終わった後、しばらく爽やかな余韻が心に広がったことを覚えています。
ピアノの調律師さんは、ピアノを演奏する人を支えてくれる、いわば裏方さん的存在で、あまり脚光を浴びることはありませんが、調律師さんたちがピアノの音を整えてくれるからこそ、私たちは心地よくピアノを演奏することができます。
ピアノの調律師さんは専門の技術を持つ職人さんです。
私たちピアノを演奏する人たちと、切っても切れない関係の調律師さん。
その関係は、いわばカーレーサーと整備士のような関係にあります。
では調律師さんとは、一体どんな仕事をする人達なのでしょう。
ピアノ調律(ピアノちょうりつ、英: Piano tuning)とは、ピアノの音程を整える作業、または調律時に行う鍵盤タッチの調整や音色を整える作業などをいう。
狭義には音程を調整する調律(チューニング)を意味するが、広義にはピアノのメンテナンスに必要な技術的作業を指し、ピアノ調律師に頼んで調律してもらう場合のピアノ調律とは、整調と整音、若干の修理を含んで考えることが一般的である[1]。例えば「鍵盤を押しても音が出ないのでピアノの調律をしてもらう」と言った場合、この時実際に行われる作業は狭義のピアノ調律ではなく部分的な整調や修理であることが多い。
ピアノ調律Wikipediaより引用。
ピアノの演奏は、調律師さんと演奏者のコラボレーションです。
ピアノは、とても珍しい楽器です。
他の楽器、ギターやバイオリンなどは、演奏する人が自分でチューニング(音の調整)をします。
そのため楽器の演奏技術を学ぶ時に、指導者からチューニングの仕方も習いますが、ピアノは違いますよね?
ピアノを習う生徒さん達が、ピアノ教室でピアノの調律の仕方を教わることはありません。
ピアノの講師がピアノの調律を行うこともありません。
ピアノは演奏する人とは別に、専門の調律師さんが存在します。
ピアニストやピアノ指導者とピアノ指導者は、お互いの領域での、違う専門知識と感性を磨き、お互いを高めあう「職人たち」であり、深い結びつきを保ちながら、良いピアノ演奏を生み出していく、コラボーレーションの関係にあります。
良い音を出すための土台づくりは調律師さん
整えられた楽器を美しく奏でるのがピアニスト
良い演奏のために、ピアノのコンディションを最良の状態に保つには、ピアノの調律を専門的に学んだ技術者による定期的なメンテナンスが必要不可欠です。
当ピアノ教室は、シンガポールのトップチューナーと契約しています。
ピアノは88個ある鍵盤それぞれに1~3本の弦が張られ、弦の総数は220本にもなります。
その鍵盤と弦をはじめとする約8,000個のパーツからなるピアノのメカニズムや理論を理解し、バランスよく調整していく技術を身につけるには独学では、おのずと限界があります。
実際に調律師として仕事をするためには、専門機関で一定期間で学んで資格を取得する必要があります。
日本では、ピアノ調律技術士という国家資格がありますので、腕のいい調律師さんを探す判断基準の一つとして知っておくと便利ですよ。
一般的には、狂っている音を合わせることだけが調律師さんの仕事だと思われやすいのですが、調律の作業には、音を合わせる以外にも、様々な内容が含まれていて、大きく分けると以下の3つです。
♦︎整調
ピアノの鍵盤の高さや深さを揃えるなど、それぞれの部品の位置と動きを揃える作業です。
目と指先の感覚を使って,ときには100分の1ミリの精度で調整することもあります。
♦︎整音
読んで字のごとく、演奏者好みの音の質に近づけていく作業です。
映画「羊と鋼の森」の中でも、三浦友和さんと、山崎賢人くんが、ていねいにフェルトを整えて整音している場面がありますよ。
♦︎修理
切れた弦を張りなおしたり,すり減った部品を交換したりする作業です。
当ピアノ教室では、私のピアノも含め、生徒さんのピアノのメンテナンスには、ここ10年ほど同じ調律師さんのお世話になっています。
調律に関する認定資格を保持し、シンガポール国内のヤマハミュージックスクールで使用中のピアノの調律の最高責任者として活躍しているトップチューナーと契約を結んでいて、生徒さんのピアノの状態を把握し、調律が必要な時期が来ると定期的に連絡を入れてくれます。 いわばピアノの健康診断ですね。
優秀な調律師さんは、ピアノの特徴や室内の環境から、どれくらいの周波数が、どれくらいの期間で落ちてくるか、数ヶ月後の予測をしながら調整をする「見越し調律」のスキルを持っています。
当ピアノ教室の調律師さんも、生徒さんのピアノの調律の後「どうでしたか?」と保護者の方に様子を伺うと「Teacher Norikoは、この音が好きだから」と、あらかじめ、少し高めの周波数で音を整えてくれていることがあります。
その違いは、普通耳で聴いても感じられない微細なものですが、チューナーと私にとって、ピアノの音の周波数の数値の違いは、例え一桁でも、決して無視することはできない「大きな問題」です。
このトップチューナーは、浜松のヤマハ本社で研修を受けた経験もあり、片言の日本語を話す、明るくフレンドリーな男性です。
大変丁寧な仕事ぶりで、生徒さんの保護者の方々からの信頼も厚く、信頼してお任せできるチューナーだとの評価をいただいています。
ご自宅のピアノのメンテナンスは、安心してお任せくださいね。