こんにちは。
シンガポールの出張ピアノ教室
fairy wish creation 講師の
塚越 則子です。
今日は、タイトルにあるように、ピアノを弾くときの目の動きについてのお話です。
みなさんは、トップピアニストの指の動きはしなやか、かつ高速だということをよくご存じだと思いますが
手には注目しても、どのような世界を見ることで、そういった超絶技巧が実現しているのか、その視線に意識を向け、思いを巡らせることは、あまりないのではないでしょうか。
プロのピアニストがいったい「どこを」「どのように」見ているのかをアイトラッキングカメラで撮影する実験が行われ、アマチュア上級者とプロでは、大きく違う目の動きをしていることがわかっています。
ピアニストの眼は、かかれたすべての音符に1つずつ焦点を合わせていくわけではなく、わずかなあいだ、楽譜上のある1ヵ所に焦点を合わせて(固視と言います)、そのあいだに周りにある音符がどんな音符なのかを一気に把握し、その後、少し離れた箇所に目の焦点を合わせるために、眼球を高速度に移動すること(=高速眼球運動、サッケード)を繰り返しています。これは、目が楽譜上の一点に焦点を合わせているときでも、その周囲にある音符をまとめて見ることができる能力、つまり周辺視の能力があるおかげで可能になります。
楽譜を読むとき、音符を一つ一つ読んでいくのでは遅すぎます。
スラスラと速く読むためには、いくつかの音符をいっぺんにまとめて読むことが必要なのです。
この「どれだけ速く、多くの音符を視覚でとらえられるか」は、「周辺視*」の力がどのくらいあるかで変わってきます。
*周辺視・・・外界の対象を、網膜の中心部(中心窩と呼ばれる)からある程度以上離れた網膜周辺部で見ること。(コトバンク「周辺視」より)
何か物を見たときに、視界に入っているのはその物だけではありませんよね。周囲も見えています。
でも、周囲に見えている物は見たかった物それではないので、あまりちゃんとは分かっていなかったりする。
周辺視の力とは、その周囲に見えているものもしっかりと認識できる力のことです。
1小節分くらいをパッと把握し、すぐに1小節先へ視線を移していく。
音楽には”音の流れの法則”がありますが、それが大体1小節、2小節でひとつになっているため、かたまりでとらえ認識していく。それも瞬時に。音楽は動いていますからね。
「短期記憶」も大事です。
音楽家の読譜には、「記憶力」も関係しています。
周辺視の力で複数の音符を読むことができても、それをさっさとすぐに忘れてしまっては意味ありません。
すばやく次の音符を読みつつ、今読んだところをきちんと記憶して音にしていくということですね。
周辺視で把握した音符を、単に「見た」ということではなくて、きちんと覚えなければ意味はないのです。
どうでしょう。
ピアノを弾いているときの目や脳の動きって、想像以上に複雑だと感じませんか?
大人ピアノレッスン生の中には、レベルに関係なく
「ピアノを練習すると、脳がワサワサする」
「ピアノを弾くと、目がシャキッと目覚めて頭が覚醒する感じ」
とおっしゃる方が一定数おられます。
子どもたちの頭の中でも、言葉ではあわらさないものの、全く同じことが繰り広げられているのですよ。
上に挙げたような眼球運動をスムーズに行えるようにしたり、周辺視の力を向上させたりするのは、トレーニングが効果的。
それをビジョントレーニングといいます。
ビジョントレーニングを行うことで、楽譜をスラスラと読んでいく能力が身につきますよ。
目の機能は視力の良し悪しの問題だけではありません。
物を正しく認識したり、正しく再現したりといった、他の身体の機能や感覚とも密接に関係しています。
すなわち、目の機能を向上させることが様々なことがスムーズに行える動作にも結び付き、2倍、3倍の相乗効果が期待できるというわけです。
いろいろな曲を弾いて見たい願いを叶えるには。
「好きな曲を1曲弾ければいい」ではなくて、いろんな曲を弾いていきたいと思うのなら、楽譜をスラスラと読み、それをスムーズに再現(弾く)する力はとても重要。
それには「視覚」が大きく関わっている、ということを、ご理解いただけたでしょうか。
ビアノを弾くときに必要な目の動きをマスターするには一朝一夕ではできませんが
当ピアノ教室では、目立たない形で、ビジョントレーニングをレッスンのあちこちに取り入れています。
あれ? いつの間にか、こんなに弾けるようになっちゃった!
と、多くの生徒さんに実感してもらえるのは、そのためです。
ちなみに、当ピアノ教室では、一音ずつ「ドレミ」を音を読ませるスタイルの「フラッシュカード」は使っていません。なぜなら
古い。
そして
読譜の力をつけるための教材ではないから。
え?
と思った方。
そもそも、一つずつ音を読ませるフラッシュカードは、音の高さを認識できるように開発された、導入期の幼児さん向けの教具であり
具体的には、3歳、4歳さんが対象で、ピアノを習い始めて数ヶ月で使用卒業が目安で
両手を使い、ある程度の曲を弾くようになったリトルピアニストには適しません。なぜなら
実践的ではないから。
読譜を効果的に強化することを目的にしたいのならば、今どきは効果的、かつ、無理なく力をつける教材がたくさん出揃っており、指導法も確立されています。
ピアノの教え方は、どんどん時代とともに進化しているため、指導者も常に勉強が欠かせません。うかうかしているとすぐに時代遅れになるのでアップデートは必要不可欠です。
といっても医学の世界ほどではありませんが….
そういえば、当ピアノ教室では、近視を矯正するために「ナイトコンタクト」を使用している生徒さんが多いです。
◆コンタクトを装着して
◆夜寝ているだけで
◆視力が回復しちゃう
なんて聞くたびに、メカニズムは全くわからないけれど、画期的な進歩であることだけは充分理解できるので
💎信じられないよねー
💎素晴らしいねー
💎便利になったよねー
と、つい感嘆の声をあげてしまう、則子せんせーです。
どこよりも手厚く、きめ細やかなピアノ指導で、シンガポールの駐在員日本人ご家族との信頼の絆を築いて32年。
頑張ることを楽しむ心を育てる
当ピアノ教室のレッスンは、ワンランク上の心と音楽を学ぶレッスンです。
ピアノを学ぶことを通して、これからの時代を生きるために必要な「人間力」を育てます。
当ピアノ教室は、300人以上の生徒さんたちを育て上げた経験を持つ、シンガポールで一番長い指導歴の日本人のピアノの先生が主宰している出張専門のピアノ教室です。