こんにちは。
シンガポールの出張ピアノ教室
fairy wish creation 講師の
塚越 則子(つかごし のりこ)です。

 

 

 

 

今日は、当ピアノ教室の30年のあゆみを振り返る特別企画として、歴代の生徒さん、保護者の方々から届いたメッセージをご紹介するシリーズの5日目です。

 

 

 

 

【シンガポールで出張ピアノレッスン/30年のあゆみ】アニバーサリーイヤーに頂戴したメッセージより①

 

 

 

【シンガポールで出張ピアノレッスン/30年のあゆみ】アニバーサリーイヤーに頂戴したメッセージより②

 

 

 

【シンガポールで出張ピアノレッスン/30年のあゆみ】アニバーサリーイヤーに頂戴したメッセージより③

 

 

 

【シンガポールで出張ピアノレッスン/30年のあゆみ】アニバーサリーイヤーに頂戴したメッセージより④

 

 

 

 

5日目の今日ご紹介するのは、Kちゃんのお母さんからいただいたメッセージです。

 

 

 

 

Kちゃんは、小学1年生から中学1年生までの期間、当ピアノ教室でピアノを習ったのち、本帰国されました。

 

 

 

 

 

現在、高校3年生です。

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
(以下、お母さんからいただいたメッセージより)

 

 

 

❤︎レッスンを受講していた期間
2011年3月〜2017年12月

 

 

 

❤︎当時の年齢
7歳〜13歳

 

 

 

 

塚越先生
ご無沙汰しております!
発表会の開催と30周年の記念おめでとうございます!

 

 

 

 

先生のレッスンは親子共々ピアノを大好きにして下さいました。

 

 

 

 

私は娘の奏でるピアノの音が大好きになりました!

 

 

 

 

〜ピアノレッスンの思い出〜

 

 

 

◉小学校音楽発表会のピアノ伴奏レッスン

 

 

 

◉シンガポールでのアップライトピアノ購入

 

 

 

◉先生オリジナル編曲Let it goでコンクール初挑戦

 

 

 

◉弟たちのお友達と一緒にお歌での発表会出演…

 

 

 

 

思い返せばシンガポールでのピアノLifeは全て先生との思い出です。

 

 

 

 

〜発表会での思い出〜

 

 

 

 

たった3つの音から始まる先生のピアノ即興演奏は毎年鳥肌ものでした。

 

 

 

 

発表会最後のスナックタイムも子供達はいつも楽しみだったようです🤣

 

 

 

 

長女の演奏では《バウムクーヘン》(注:湯山昭「お菓子の世界」より)が、特に記憶に残っています。

 

 

 

 

帰国後長女は吹奏楽部→弓道部(今ここ)に入部し、ピアノから少し遠ざかっておりますが

 

 

 

 

 

時折昔の楽譜を引っ張り出してはピアノを弾いています。

 

 

 

 

シンガポールから一緒に帰国したピアノを眺めては先生とのレッスンを懐かしく思い出します。

 

 

 

 

 

いつか長女と一緒に我が家を出て長女に子どもができた時にまたたくさん弾いてもらえるかな?

 

 

 

 

 

先生、ピアノとの素敵な思い出を本当にありがとうございました😊

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

Kちゃんとのレッスンの、たくさんの思い出の中で、最も印象的な出来事といえば、レッスンを開始されて約2年が経過したころに起きた【あること】をきっかけに、アップライトピアノを購入されたことです。

 

 

 

 

 

あの時の、ご両親の英断が、その後のKちゃんのピアノ人生を大きく変えたといっても過言ではないと私は今でも思っています。

 

 

 

 

 

小学3年生になり、学校行事の一つである、音楽発表会のピアノ伴奏に立候補したいとKちゃんから相談を受けたとき、私はとても嬉しくて、即座に賛成しました。

 

 

 

 

 

シンガポール日本人小学校チャンギ校では、3年生以上になると、音楽発表会の合唱、合奏のピアノ演奏を児童が担当するようになります。

 

 

 

 

 

ピアノを習っている子なら誰もが一度は憧れる、音楽発表会でのピアノ伴奏ですが、栄光の座を手にすることができるのは、学年でたった1人。

 

 

 

 

 

そこで、毎年オーディションが実施されるのです。

 

 

 

 

 

「学校で、みんなの前でピアノを弾きたい」

 

 

 

 

 

しっかりと、自分の思いを言葉にして、私に打ち明けてくれたときのKちゃんは、気迫に満ちていて、今までに見たことのない真剣な眼差しをしていました。

 

 

 

 

この子はいま、本気で自分を賭けようとしている

 

 

 

 

と、緊張したことを覚えています。

 

 

 

 

 

その日からKちゃんは毎日懸命に努力を続け、仕上がりもバッチリ。当日は意気揚々と臨みました。

 

 

 

 

 

しかし、残念ながら、望む結果を手にすることはできませんでした。

 

 

 

 

 

選ばれなかった理由は、いまもわかりません。

 

 

 

 

選考基準は一切公表されないからです。

 

 

 

 

「学校行事のピアノ伴奏とはそういうもの」

 

 

 

 

 

お母さんからのメッセージで結果を知り、たまらなくなってお電話をして、そんなことをお伝えしながら、波立つ気持ちをなだめるのに必死でした。

 

 

 

 

 

「残念でしたが、本人はよく頑張ったので、週末は、ご褒美に家族で焼肉を食べに行きます!」

 

 

 

 

 

そう話されていたお母さんの言葉に、行き場のない悔しさが一気に飛んでいくような思いがしたものです。翌週のレッスンが終わったとき、帰り際に玄関先で、一つのご質問を受けました。

 

 

 

 

 

「先生、やっぱりピアノの方がいいのでしょうか」

 

 

 

 

 

何気なく聞こえたそのご質問に対して

 

 

 

 

 

「もちろん、長い目で見れば、それに越したことはありませんよ」

 

 

 

 

 

と、サラリとお答えしたことを、私はよく覚えています。

 

 

 

 

 

当時、ご自宅にあった電子ピアノは、ヤマハの電子ピアノ、クラビノーバですから、レッスンに何の支障もありませんでしたが

 

 

 

 

 

長くピアノを続けていきたいと考えたら、いずれ、アコースティックピアノでなければと実感するときがくる

 

 

 

 

 

そんな意味合いを込めたつもりでした。しかし私の想像を超えた水面下で、計画は着々と進んでいたようで、翌週、レッスンに伺うと、なんと

 

 

 

 

 

楽器が新品のアップライトピアノに変わっていたのです!

 

 

 

 

 

 

たった1週間のうちに、一体何が?????

 

 

 

 

 

 

この時の驚きは、とても言葉では言い表すことができません。目の前の現実がうまく理解できず、しばらく立ち尽くすだけでした。そんな私を見て

 

 

 

 

 

 

せんせー、清水の舞台から一気に飛び降りちゃいましたー

 

 

 

 

 

 

おどけたような表情でおっしゃっていたお母さんの隣でクスクス笑っていたKちゃんです。

 

 

 

 

 

 

その翌年からのKちゃんは、音楽発表会はもちろんのこと、チャンギ校で実施されていた音楽に関する行事では必ずピアノ伴奏に選ばれる「常連さん」になり、回を追うごとに音楽の先生からも一目置かれる存在になりました。

 

 

 

 

 

国内の自然災害で被災した小学校との間での、ビデオを通じた交流会の実施が急遽決定した時は、歌う曲は決まったものの(ポケモンの「虹色マーチ」)ピアノ伴奏用の楽譜がなく、音楽の先生から

 

 

 

 

 

伴奏は、コードを見てアレンジしてね

 

 

 

 

 

とだけ言われて渡されたメロディとコードネームだけの譜面を頼りに一晩で伴奏を作り、本番まで約1週間と、日にちが迫っていたので、翌日、直接お手渡しをしようとお母さんにご無理を言って、レッスンの移動途中の夕方に、ノベナMRTの駅まで出向いていただいたりもしました。

 

 

 

 

 

 

2010年代の数年間《チャンギ校の音楽行事のピアノ伴奏者の顔》となって大活躍をしたKちゃんですが、いつも私がピアノ指導者として伝えていたのは

 

 

 

 

 

 

選ばれるため「だけ」の演奏をしないようにね

 

 

 

 

 

ということです。

 

 

 

 

 

だけど、最終的に選ばれなくては意味がない。

 

 

 

 

 

だから私たちはいつも、自分たちの目指す音の追求にどこまでも貪欲にこだわりました。

 

 

 

 

 

そしてKちゃんだけにしか出せない音を2人で時間をかけて、丁寧に作り上げていったのです。

 

 

 

 

 

たくさん話し合いました。

 

 

 

 

一緒に迷い、悩んだりもしました。

 

 

 

 

同じ曲でも弾き方によって全く違う曲になる

 

 

 

 

 

そのことを知って、ますますピアノにのめり込んでいったKちゃんでした。

 

 

 

 

 

音に命を吹き込む演奏ができるようになったKちゃんだからこそ、ピアノ経験者のお母さんはもちろんのとと、音楽のことやピアノの技術のことを何も知らない学校の先生たちの心をも揺り動かし、魅了することができたのだと思っています。

 

 

 

 

 

Kちゃん!

 

 

 

 

先生がいつも話していたことを覚えていますか?

 

 

 

 

誰かと自分を比べることなんてない

 

 

 

 

Kちゃんはいつも先生にとって一番で最高だよ♡

 

 

 

 

 

あなたの門出を心から応援しています。馴染みのない土地での新生活が始まっても、自信を持って、あなただけの心のメロディを奏でて、周りの人たちと喜びや楽しみを分け合いながら大きく伸びやかに成長してください。

 

 

 

 

 

時々ピアノの蓋を開けることも忘れないでね。

 

 

 

 

 

鍵盤たちは、あなたの指が触れてくれるのを待っているはずだから。

 

 

 

 

 

シンガポールに来る時があったら必ず連絡してね。また一緒に飲茶いこう♬

 

 

 

 

 

本帰国の前に、お母さんとKちゃんと3人でランチ!発表会直前の、ちょうど今頃の時期です。(2017年11月)

 

(お母さまよりご提供)