坂本龍一さんの「あの疑惑」への素晴らしい対応に感じたこと。

日常と音楽と私 最新記事

こんにちは。
シンガポールの出張ピアノ教室
fairy wish creation 講師の
塚越 則子(つかごし のりこ)です。
 

 

 

 

いま、音楽業界では、坂本龍一さんのある発言が注目を浴びています。

 

 

 

 

それは、坂本龍一さんの楽曲の盗作疑惑

についての発言です。

 

 

 

 

韓国で歌手や作曲家として活動するユ・ヒヨルさんの楽曲が、音楽家の坂本龍一さんの楽曲に類似していることから盗作を指摘され公式に謝罪した問題で

 

 

 

 

先頃、坂本さんがコメントを発表し、その対応に、国内外から感動の嵐が巻き起こっています。

 

 

 

 

 

問題となった曲は、ユさんによるプロジェクト『ユ・ヒヨルの生活音楽』のトラック2『とても私的な夜』の楽曲。

 

 

 

 

この曲が、坂本さんの『Aqua』を盗作したのではないかというものです。

 

 

 

 

※今回の件で注目された『Aqua』は、1998年に発売されたオリジナルアルバム『BTTB』などに収録されています。

 

 

 

 

 

朝鮮日報(日本語版)などの報道によると、ユさんは

 

 

 

 

 

「検討した結果、曲のメインテーマが類似していることを認めます」

 

 

 

 

と事実を認めた上で

 

 

 

 

「(坂本さんは自分が)長い間、最も影響を受け、尊敬していたミュージシャンなので、無意識に覚えていたメロディーで曲を書くことになりました。

 

 

 

 

 

発表当時は、自分の純粋な創作物だと考えていたが、2曲の類似性は認めざるを得ませんでした」などと説明して謝罪をしています。

 

 

 

 

これを受けて坂本龍一さんは「Ryuichi Sakamoto Social Project, Korea」の公式サイトを通じて、以下のようにコメントを発表しました。

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

私に(この出来事に関する)情報を提供してくださったファンの皆さんと、この件を公に明かそうとしたユ・ヒヨルさんの率直な意図に感謝致します。

 

 

 

 

 

2曲の類似性はありますが、私の作品である『Aqua』を保護するための法的措置が必要なレベルであるとは考えられません。そして、私の楽曲に対する彼の大きな敬意が見られました。

 

 

 

 

私には、私が愛し、尊敬し、多くの事を学んだバッハやドビュッシーからも明らかに強い影響を受けている曲がいくつかあります。しかし私がバッハやドビュッシーのようなレベルで自分を見ているわけではないので、誤解はしないでください。

 

 

 

 

全ての創作物は既存の芸術の影響を受けています。(責任の範囲内で)そこに自身の独創性を5%~10%ほど加味するとしたら、それは素晴らしく立派で、感謝すべきことです。それが私の長年の考えです。

 

 

 

 

私はいまだに、自分が創りだす全ての音楽において、独創性の比率を上げるために最善を尽くしていますが、チャレンジングなことです。しかし、それもまた、芸術を美しくすることに繋がるのではと考えています。

 

 

 

 

 

ユ・ヒヨルさんと私のファンの皆さんの寛大な声援に感謝いたします。 ユ・ヒヨルさんのニューアルバムの幸運を祈り、彼の成功を祈っています

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

坂本さんはコメントでユさんの件を非難することなく、むしろ感謝の言葉まで伝えており

 

 

 

 

今回の盗作に対し、いかなる法的措置を取ることもしないとしました。

 

 

 

 

みなさんは、今回の坂本龍一さんの、この対応を、どうお感じになりますか?

 

 

 

 

ここまでならば美談で終わっていたかも知れないのですが、実はここにきて、新たな問題点が徐々に表面化し始めています。

 

 

 

 

 

2022年6月15日、ピアノ作曲家JUNJOは、ユさんの「僕が灯される時間」と坂本龍一さんの「1900」が類似していると投稿しました。

 

 

 

 

 

坂本龍一さんは映画「1900年」でエンニオ・モリコーネの曲をピアノ曲に編曲して発表しています。

 

 

 

 

 

しかし、ユさんは、同メロディをメインテーマとしているにもかかわらず、原作者のモリコーネや坂本さんに関する記載は一切なく自分の曲として発表しているのです。

 

 

 

 

 

これに対しても「イット・ミュージック・クリエーティブ」は

 

 

 

 

「坂本は『1900』に関しても認知しており、アーチストはこれ以上話題になることを願わない」

 

 

 

 

答えました。

 

 

 

しかし、盗作疑惑はこれだけではなかったのです。

 

 

 

 

2002年に発表された『Happy Birthday to You』は、1998年に発売された玉置浩二さんの『Happy Birthday~愛が生まれた~』を韓国語に吹き替えした曲といえるほど酷似していますが

 

 

 

 

 

この曲は、ユさんが作詞・作曲・編曲まで担当しており、実際、韓国音楽著作協会に著作権登録された作詞・作曲・編曲者はユさん単独となっています。

 

 

 

 

 

盗作問題は親告罪で、当事者が問題ないと言ってしまえば、罪に問われることはありません。

 

 

 

 

 

今回ユさんは、坂本龍一さんからの「法的に対応するつもりはない」という寛大な言葉を受けて、安心してしまったのか、中途半端な謝罪の仕方にも非難が集まっており、自分のファンをはじめ韓国人の間では「モラル」の問題にまで発展してしまっているといいます。

 

 

 

 

 

 

ここまで問題が大きくなってしまうと、大変残念ながら、彼は当分これまでのような好感度の高いエンターテイナーとしては復活できないかもしれません。

 

 

 

 

 

 

音楽業界に盗作疑惑は付きものですが、今回の出来事は音楽業界の人たち、特に芸能事務所の関係者も心配しているといいます。なぜなら

 

 

 

 

 

《現在のK-POPは、以前とは違って世界的な人気を博しているから》です。

 

 

 

 

 

今回の問題は、せっかくBTSやブラックピックなどが盛り上げたK-POPの人気の土壌を、一気に崩してしまう危険もはらんでいます。

 

 

 

 

 

しかしそんな中でも坂本龍一さんは

 

 

 

 

 

「これ以上この件が広まることを望んでいない。アーティスト本人の意思を尊重してほしい」

 

 

 

 

 

と再度呼びかけました。

 

 

 

 

 

温和に問題を解決されていく、そのブレない姿勢に感動を覚えずにはいられません。
 

 

 

 

 

同じ日本人として、音楽家として、私は坂本龍一さんを心から尊敬し、誇りに思います。

 

 

 

 

そして、こんな素晴らしい楽曲を弾くことができることに改めて至福の喜びを噛み締めています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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