こんにちは。シンガポールの出張ピアノ教室「fairy wish creation 」を主宰している塚越 則子(つかごし のりこ)です。

駐在員ご家族のお子様を中心に、ご自宅に伺い個人レッスンをしています。

 

 

関東地方は梅雨入り間近のようなお天気が続いているようですね。

 

 

 

 

季節の変化の乏しいシンガポールにいると、淡いブルーの季節の風物詩を街のあちこちで目にする風情のある毎日は、日本に暮らす日本人が享受できる、この時期ならではの贅沢の一つのようにも映ります。自由な行き来が出来ない今は尚更恋しいですね。

 

 

 

 

写真は我らハマっ子御用達ベーカリー「ポンパドール」横浜元町本店。先頃老舗フレンチ「霧笛楼」とコラボした「横浜煉瓦パン」を限定販売し好評だった様子。この状況の中、馴染みのお店が健闘しているニュースは大変励みになります。

 

 

 

 

当ピアノ教室の生徒さんは、毎週元気にオンラインレッスンを継続中。私の代わりにお母さんに「合格」の丸印をつけてもらったり、出張レッスンの時とは違う課題に新鮮な気持ちで取り組んだりと環境の変化にそれぞれ上手く順応してピンチをチャンスに変換。さすが子どもたちはたくましい!

 

 

外出制限も徐々に緩和されていくようですが、出張ピアノレッスン再開までには、あともう少し時間が必要のようです。来月からは、さらに充実させた内容へと移行する予定のため私も指導に使う新機材の導入やアプリダウンロードなど着々と準備中。新しいことを学ぶのは楽しいのですが、慣れない作業の連続に四苦八苦。毎日があっと言う間です。

 

 

 

 

 

日本のみんなは元気かな?4年ほど前に中部地方へ本帰国したSくんを思い出しました。お母さんとは、ピアノレッスンを離れた現在もLINEでのメッセージのやり取りで交流があり、時折近況報告をいただいています。

 

 

 

Sくんとの出会いは、当ピアノ教室の生徒さんが同じヒップホップスクールに通っていて、ご紹介いただいたことがきっかけです。

 

 

 

 

Sくんは、ダンスが得意な活発な男の子。
シンガポールでの最後のピアノ発表会では、ビシッとスーツを着こなして、9歳にしてすでにイケメンビーム炸裂。ダイナミックな演奏を披露してくれました。レッスンではいつも合格シールを楽しみに。お気に入りはリラックマ。

 

 

 

 

 

幼稚園、小学校低学年のお子さんにとって
合格シールはピアノレッスンでの楽しみの一つです。

 

 

 

 

 

当ピアノ教室では毎回ではなく、特に良くできたとき、頑張ったときに貼るお約束にしてメリハリをつける工夫をしています。

 

 

大きくてキラキラ光る豪華なシールは「ご予約」も受け付けて、テキスト終了時に進呈です。

 

 

 

お子さんによってシールも好みがあります。
キャラクターものはやはり不滅の人気ですね。意外なところで、ヤマハシールも年齢、性別に関係なく人気があります。

 

 

 

頑張って弾けるようになった自分を「YAMAHA が認定してくれた」と思うようで、好きな場所にメダルシールを貼ってすぐ、私の拍手をバックにお母さんのところに全速力で走って行って見せる生徒さんが多いです。無邪気に全身で喜びを表現する姿は可愛いですね。得意そうに胸に貼る生徒さんもいますよ。勲章みたいですね。

 

 

ある日、Sくんに合格シールを貼ろうとシールシートを見たら何と手持ちのリラックマシールは最後の一枚。

 

 

 

 

 

「Sくん、よかったね!見て見て、最後の一枚だったよ。どこに貼ろうか?」

 

 

 

 

意気揚々と尋ねると意外な答えが返ってきました。

 

 

 

 

「僕はいいよ、最後の一枚だったら先生、それは別のお友達にあげて」

 

びっくりする私にSくんは畳み掛けるように

 

「最後の一枚なんでしょう?僕じゃなくて他のお友達にあげてね」

 

 

彼の偽りのない優しさに私は言葉を失いました。

 

 

 

Sくんは見返りを全く求めていません。目の前にいるいつも仲良くしているお友達に優しくしているのではなく、自分の知らない「ピアノ仲間」に対して、いつ、どこで、どのような形で、その優しさが届くのかわからないけれど、そんなことは関係ない様子。

 

今自分が欲しくてたまらない大好きなものを、きっと他にも欲しいお友達がいると想像し、ためらいなく差し出すことを厭わない純粋無垢な無条件の思いやりは、Sくんには特別なことではないようです。

 

ありがとうの言葉さえも求めず期待もせず。

 

 

 

大人は時に種明かしのように、自分がしたことを遡って、いかに自分が我慢したか、配慮したか、その相手や第三者に説明をすることがあります。処世術の一つなんでしょうが、そこには計算が働いていて恩着せがましさや、あざとさの香りを感じ取ってしまうのは私だけでしょうか。

 

優しい「わたし」 親切な「わたし」を知って欲しい、理解して欲しいと期待しての言動。それは良く見られたいという承認欲求の一つですよね。

 

 

 

 

 

子どもたちも、大人たちとはまた違う種類の難しい「お付き合い」の中で生きていることに変わりはありませんが、ともするとよりストレートなだけに容赦ない部分もあり、その複雑さを時折耳にして、びっくりすることもしばしば。

 

シンガポールに限らず駐在員ご家族のお子さんたちは、必ず転校生の立場と転校生を迎える立場の両方を経験する宿命にあります。
新しい学校で友達とうまくやっていけるかな?楽しく過ごせるかな?小さな胸は不安でいっぱいですね。

 

 

本帰国の生徒さんに必ずかける言葉があります。

「何から話したらいいんだろう? ってはじめてお友達とお話しするとき思ったら「ピアノ習ってる?」って尋ねてごらん?」

 

その問いをきっかけにして、お互いの距離は確実に縮まります。お友達と楽しい学校生活が送れるようにピアノも喜んでお手伝いしてくれますよ。

 

 

 

 

 

私自身も年少時、父の転勤で転居を何回か経験し、小学校は2回転校、最後の転校生体験は
小学校4年生の3学期でした。

 

 

初めての登校日の逃げ出したいような心細さ、だけど半分開き直った「まな板の上の鯉」のような複雑な気持ちは今もよく覚えています。

 

 

人見知りで積極的になかなか自分から声を掛けることはできなかったけれど、みんなと仲良くなりたい一心で、音楽の授業の後のピアノを自由に弾かせてもらえる時間には毎回必ず弾いて「私アピール」をしていた記憶があります。

 

 

 

 

思い出すと恥ずかしいけれど、みんながピアノの先生から習っているクラッシックを弾く中で、あえて「およげたいやきくん」や「宇宙戦艦ヤマト」を弾いたのは知恵を絞り抜いた私なりのこだわりでした。

 

 

 

 

Sくんのお母さんには今回LINEメッセージと共に「うちで踊ろう」をダンスバージョンにアレンジした演奏を一緒に送りました。

 

 

純粋さと優しさと素直さ、持ち前のチャーミングな笑顔でSくんは、想像通り自然体で新しい環境にもすぐに馴染み、たちまち人気者になったようです。部活動に励んだりカラオケに行ったりと、たくさんのお友達と毎日充実した楽しい中学校生活を送っているそう。

 

 

ダンスも頑張っています。
天性のリズム感と粘り強さを発揮して大好きなダンスでも才能を開花させていることでしょう。どんな世界に進んだとしても、Sくんには周りの人達を魅了し続けていく真の輝きがあります。

 

 

 

 

 

 

Sくん!
少しはにかんだような優しい笑顔がのりこ先生は大好き。たまにはピアノも弾いてね。いつかシンガポールに遊びに来てくれるのを待ってるよ。

P.S  ゆっくり大人になって。そう。彼女は20年くらい先でね(笑)