こんにちは。
シンガポールの出張ピアノ教室
fairy wish creation
塚越 則子(つかごし のりこ)です。
1992年来星。シンガポールPR(永住権)保有者。
シンガポールで1番長い指導歴の日本人ピアノ講師です。
シンガポールは日本とはピアノ教室の事情が異なり、講師の自宅でお教室を開講することは法律で認められていません。
当ピアノ教室は、シンガポール政府の定めた法律を遵守した、講師が生徒さんのお宅に出向いてレッスンを行う、出張ピアノ教室です。
Q&Aシリーズ⑩
先生のお宅でのレッスンはありますか?
今日は、6歳から10歳までのシンガポール在住中、当ピアノ教室のレッスン生だった、あやこちゃんとの思い出を振り返ってみたいと思います。
香港からシンガポールへ
あやこちゃんとの初めてのレッスンの日は、雨季が始まって鬱陶しい毎日が続く、ちょうど今頃の時期でした。
当ピアノ教室のレッスン生のお友達が近くのコンドミニアムに住んでいて、ご紹介いただいての出会いです。
一番最初にご自宅に伺った日、玄関を開けてすぐの場所には、立派なクリスマスツリーが飾ってありました。
わあ、きれい!
思わず口にすると、あやこちゃんは、すーっと近くに寄ってきて耳元で小さく
「私は香港からシンガポールに引っ越してきたばっかりだから心配なの。サンタさんは、わたしがシンガポールにいることを、まだ知らないかもしれないの」
心配そうにうつむく姿を前にして、私はすぐに返事をすることができずにいたことを覚えています。しばらく考えてから
「大丈夫よ。サンタさんはわかってるはずだから。
でも、もし心配だったらお手紙に書いておいたらいいと思うよ。
あ、それからピアノを習い始めました、って書くのも忘れないでね」
と、ゆっくり諭すように話しながら、あやこちゃんの手に自分の手を重ねたのを覚えています。
しばらくして、あやこちゃんは、早速サンタさんへのお手紙を書いたようで、数週間後のクリスマスが終わった最初のレッスンでは
「せんせー、サンタさんはわかってた!来てくれたよ!」
と、玄関が開くなり飛びついてきて、その手には、サンタさんからのお手紙と、本物そっくりの、小さな茶色い犬のぬいぐるみがありました。
お手紙には
「サンタさんは、ほんもののいぬは、つれてこれないんだよ。だからこのこをプレゼントするよ」
とあり、末尾には
「ピアノをはじめて、がんばっているのをしっているよ」
の言葉と、サンタさんの英語のサインが記してありました。
あやこちゃんの背後のキッチンの入り口に立つお母さんは、ウィンクをして微笑みながら頷いています。
お母さんは、幼稚園の先生でいらしたそうで、ピアノの腕前も確かなようでしたが、レッスンに関して、ご意向を伺うたびに、決まって
「先生に全てお任せ致します」
と、にこやかにお答えになるのが定番でした。
発表会ではピアノ以外のパフォーマンスも披露
先日、大人レッスンで、生徒さんが弾く「SAY YES」を聴きながら、あやこちゃんが発表会で「SAY YES」を弾いたことを思い出し、久しぶりに、歴代の発表会のプログラムを取り出してみました。
確かめてみると、演奏したのは2000年、第5回目のピアノ発表会開催の時です。
この時のあやこちゃんは9歳。
あやこちゃんへのオリジナルのピアノ譜を書くとき、小さな手に合わせて、どれだけ迫力あるアレンジができるかの挑戦だったことが蘇ってきます。
あやこちゃんのピアノの音には、どんな曲を弾いているときも、聴いている人の頭の中にストーリーが浮かんでくるような、みずみずしく躍動感に溢れた魅力がありました。
この回では、持ち前の運動神経の良さを発揮して、仲良しのお友達と、Spice Girlsの「STOP」のダンスのパフォーマンスも披露。
翌年の2001年には、同じお友達と、浜崎あゆみの「Seasons」の熱唱も。
形にはまらない、自由な発想で、さまざまなことに興味を示して、常に元気いっぱい。あやこちゃんの小さな身体からは、いつもキラキラと輝くエネルギーが、絶え間なく放出されているようでした。来年は30歳になるんだね。
あやこちゃん!
元気にしてますか?
あやこちゃんがずっと前に話してくれたように、今年もサンタさんは、シンガポールにくる時はサーフィンしてくるのかな(笑)
2020年の今年は、突然、誰もが全く予期しない方向へと世界が大きく変わってしまったけれど、クリスマスには、あなたのサンタさんが、あなたの心配事や悩みごとを吹き飛ばしてくれて、あなたの疲れを溶かしてくれて、あなたに抱えきれないほどの幸せを届けてくれますように。