こんにちは
シンガポールの出張ピアノ教室
fairy wish creation
講師の塚越 則子です。
今日は、日本国内のストリートピアノ事情に関しての話題です。
子供から大人まで誰でも自由に弾ける「ストリートピアノ」。
近年、日本の至る所でピアノを見かけることが多くなりました。
シンガポールでも増えていますね。
そんな中、数日前に、あるストリートピアノの公式SNSが発信した《注意喚起》がネット上で大きな波紋を呼んでいます。
大阪市の商業施設「ATCシーサイドテラス」の中にある「南港ストリートピアノ」。
公式Xに「南港ストリートピアノからのお願い」というタイトルで投稿された内容は
「こんな掲示はしたくなかった、、
というのが正直な気持ちです、、
『練習は家でしてください』というものです。
併せて公開された声明文には
「練習は家でしてください。練習を重ねてつっかえずに弾けるようになってから、ここで発表して頂けたら幸いです」
「誰かに届いてこそ『音楽』です。手前よがりな演奏は『苦音』です」
とも書かれており
「このままだとこのピアノを撤収せざるを得ない状況です」
と書かれていました。
この騒動に対し、多くの著名人が、それぞれの立場から自論を展開し、さまざまな意見をネット上で述べているのですが、かなり辛口の意見も含め、どれも一理あるなぁというのが、私の正直な実感です。
個人的に思うのは
ストリートピアノを設置した運営サイド、ストリートピアノを使用した人たちの
双方に、それぞれ問題があったのかな
ということです。
言い換えると
お互いに都合のいいように解釈していた結果が今回の事態を招いた
のではないかと。
運営サイドは、ある程度弾ける人がストリートピアノを弾くことを想定していたのならば、その旨を明記して、音出し可能な日程を組んだり、演奏者のオーディションを実施するなど管理を徹底するべきですし、人前でミスしないで弾ける演奏レベルを要求するならば当然、何かしらの
形ある謝礼は必須
と考えます。
「ここで演奏をするために練習してきてください」と但し書きをして、ハードルを上げているのですから。
一方で、ストリートピアノを使用する人たちは、演奏レベルに関係なく、フードコートという閉鎖的な空間で、人がとどまる場所で音を出すということをしっかりと認識した上で、それなりの配慮をして、ピアノに触れるべき。
もちろん未経験だって、初心者だっていいんです。
つっかえたって、間違えたって、いいんです。
緊張してしまうのはあたりまえですから。
でもね。
楽器をオモチャのように扱ったり、いたずら弾きをするのはいただけません。
子どもが好き勝手にいじりまくり、力まかせにバンバン叩いているのに、しれっと黙って見て見ぬ振りをしている親を見ると「お願いだから、いますぐにやめさせてください」と懇願したくなります。
ピアノが不憫でたまりません。。。
ピアノは、そんな惨めな扱いを受けるために、その場所に設置されたわけではありまん。
フードコートで、そんな状況が発生したら、不快に思う人がいてクレームが入るのは当然です。
同様に
大音響で速弾きをしている人も、レベル云々以前に、自己顕示欲が強くて独りよがりで身勝手だなと感じますね。
フードコートですから。
静かに食事をしたい人や、休憩時間の束の間、ボーッとしたい人や、仲間内で久しぶりの会食の人だっています。
そして少々厳しい指摘になりますが、そもそも、そこにいる人々は
あなたのピアノを聴くことを目的に集まっているわけではありません。
節度を持った演奏ができるといいですね。
それなりの経験を持ち、それなりに弾けると自負している人ならば、状況に応じて選曲にも気を配ってほしいところです。
わたしが日本に一時帰国しているときに街角や駅で見かけたストリートピアノを思いつきで弾くと、不思議なのですが、必ずと言っていいほど、幼児さんが近くに寄ってきます。(子ども向けの曲を弾いているわけではありません😆)
みんな最初は遠巻きで、だんだん、ジワジワと距離を縮めてくるんですね。
そのうち、はじっこの鍵盤を遠慮がちに「そぉっと」押してみたりする子もいて….(参加してくれたんだと思うと、結構嬉しい💕)
よほど興味があるのでしょう。
「お椅子に座ってみる?」
「音、だしてみる?」
「おばちゃんはね、ピアノのせんせいなのよ」
「ちょっと教えてあげようか?」
そう語りかけると、勇気を振り絞って椅子に座り、果敢にチャレンジする子も少なくありません。
ちっちゃな手を支えながら、一緒にドレミを鳴らしてみたことが、これまで何回もありますよ。
いま、目の前の、見ず知らずの子が、生まれて初めてピアノに触れる瞬間に立ち会っている😃
この時の私の感動が想像できますか?
よかったね✨
と、興奮気味に子どもに語りかけながら
ありがとうございます!
「絶対ピアノ習わせます!」
と、力強く宣言してくれたママたちとの一期一会のふれ合いは、街にストリートピアノが設置してあって、誰もが自由に弾くことができてこそ成立するのです。
この数日、ネット上に散らばっている、さまざまな意見を読み、ピアノ指導者として考えさせられました。
今日は最後に、その中で最も共感した、アーティスト、シンガーソングライターのGACKTさんのご意見をみなさんとシェアしたいと思います、
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GACKTさんはこの騒動について「手前よがりな演奏は苦音か…笑 確かに、そう聞こえてしまう瞬間もあるかもしれない」と吐露。
「でもこれは、弾く側と聴く側、どちらにもリスペクトがあれば乗り越えられる問題だと思う」
と自身の考えを明かしました。
「最初から上手く弾ける人なんていない。誰もが不器用で拙い一歩から始まり、練習を重ねながら少しずつ前に進んでいく。
未熟さを笑ってしまったら、成長の芽はそこで止まってしまう」
とし
「それに、どんなプロだってミスタッチはする。完璧じゃないからこそ伝わるものがあり、不完全さこそが音楽の良さでもある」とコメントしました。
さらに
「もちろん、展示されているピアノの音が不意に耳に入ってくる人たちにとっては、突然のつたない演奏が快く感じられないこともあるかもしれない。
だからこそ、弾く側には『聴こえてくる人たちへの配慮』が必要だし、聴く側にも『誰かが今、勇気を出して音を出している』という事実への敬意があってほしい」と呼びかけました。
続けて
「音楽は、技術だけで成立しているわけじゃない。
誰かが何かを伝えたいという気持ちと、それを受け止めようとする心があって、初めて響くものになる」
「聞いてくれる人をどんな気持ちにしたくて弾くのかを演奏者は常に考えるべきだと思う」
と訴え
「表現する人と、それを見守る人。お互いが気持ちの良い場所になるといいよな」
と締めくくりました。
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みなさんは、どのようにお考えになりますか?
📌ストリートピアノのマナーに関しての、これまでの投稿はこちら。
【駅ピアノ撤去】シンガポールのピアノの先生として感じたこと。
どこよりも手厚く、きめ細やかなピアノ指導で、シンガポール在住日本人ご家族との信頼の絆を築いて34年。
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当ピアノ教室のレッスンは、ワンランク上の心と音楽を学ぶレッスンです。
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1992年来星。シンガポールPR(永住権)保有者。
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