こんにちは。
シンガポールの出張ピアノ教室
fairy wish creation
塚越 則子（つかごし のりこ）です。
1992年来星。シンガポールPR（永住権）保有者。シンガポールで1番長い指導歴の日本人ピアノ講師です。
当ピアノ教室は、シンガポール政府が定めたお稽古ごとの教室開講ガイドラインに沿った出張ピアノ教室です。
先日、当ピアノ教室の生徒さんの一人である小学校一年生の女の子のお母さんから届いた練習動画の中の一枚に、ストリートピアノデビューを果たした生徒さんの動画が混じっていて、そこには堂々とした演奏姿が映っていました。
お母さんからのメッセージによると、前回のレッスンで曲のイメージをつかみ、その後の練習で自信をつけたちょうど良いタイミングでストリートピアノに出会ったようです。
場所は、シンガポールの人気観光スポットの一つ、Gardens By The Bay です。
最初は少し年上の、知らないお兄ちゃんの演奏に見とれていただけでしたが、しばらくして自分から「私も弾きたい」と順番を代わってくれるようにお願いしてから練習中の「ギロック」の2曲を弾いたのだそうです。チャンスをしっかり手中に収めましたね、大変素晴らしいです。
行動が全てのカギを握る
ピアノに限ったことではありませんが、世の中には「行動する人」「行動しない人」の２種類がいて、物事は思った以上にシンプルだと感じます。
人生もきっと想像以上に短く、やらない言い訳を懸命に探して正当性を主張したり「でも」「だって」と愚痴や妬みを言っているうちにきっとすぐに終わってしまうのでしょうね、まさに後悔先に立たず、です。
今年に入ってからの世界の劇的な変化は誰も予想していなかったことでしたが行動した、しないで今大きな差がついていると強く実感しています。
実際のところ現在も新型コロナ肺炎COVID-19 は終息した訳ではなく、有効なワクチンが開発された訳でもなく、シンガポールは、かろうじて封じ込めにようやく成功しつつある段階でしかありません。
この先感染拡大第二波、第三波がやってこないとも限らない中で、私自身、当ピアノ教室がもし4月、5月、6月の外出制限発令中にオンラインレッスンを実施していなかったら、と想像すると時に恐くなることがあります。
もし仮に、様々なことを理由に休講し、各ご家庭での自主練習に委ねていたならば、保護者の方々の心身の負担を間接的に増大させてしまっていたばかりか、外出制限が緩和されてニューノーマルレッスンが開始したときに感じた生徒さん達の著しい成長を見ることもできませんでした。
オンラインレッスンで新しいことにもチャレンジ/小学1年女の子
また、今後また再び外出制限が発令されて出張レッスンができなくなったらどうしたらいいのだろう？と生徒さん、保護者の方を不安状態の中に無期限で置きざりにしてしまう結果にもなっていたでしょう。もしそのような成り行き任せの心許ないお教室リーダーだとしたら失格の烙印を押されたとしても仕方ありません。
これからは「いざとなったら、やればできる」と今日と同じ明日が続いていくと根拠もないのに楽観的に過ごしたり、夢見心地で現実逃避して問題解決を後回しにしたり優柔不断に逃げてはいられない時代です。というより、もともとそのような思いは幻想にしか過ぎないと、未曾有の経験を通してようやく強制的に目覚めさせられたと言った方が正しいですね。
時代の変化のスピードは更に加速し「待ったなし」です。高い決断力と迅速な行動力を持たずにいたならば保守的に失敗を避けたつもりが本末転倒で仇となり、気がついてみたら世間からすっかり取り残されて蚊帳の外になっていた、いうこともあり得るでしょう。
この生徒さんは、とても慎重で几帳面、音を間違えることに対しての嫌悪感が強く美意識が高い上に自分に対して厳しい性格でもあります。初めてのストリートピアノ経験ではいつもお家で弾くのとは全く違う状況にたくさんの戸惑いがあったはずです。
たくさんの人が行き交う雑踏の中で、たくさんの人の視線を浴びて、ピアノには椅子もなければ鍵盤のコンディションも決して良いとは言えません。調律もズレています。
だから弾かないことがいいのでしょうか? いいえ、私はそのようには思いません。ストリートピアノで演奏して、そこで何を得られるのか、それは実際に弾いた人にしか分からず、行動したからこそ開ける世界が、そこにはあることを知っているからです。
この生徒さんは着実に経験を積んで今までとは違う世界へと一歩踏み出しました。私はピアノ指導者として以前に、親愛なるピアノ仲間の一人として、その勇気ある行動を心から讃えます。
どんなにドキドキと緊張したことでしょう。私は送られてきた動画を見ながら彼女の気持ちが手に取るようにわかり、一緒にその場にいるような感覚になって思わず胸が熱くなりました。気がつくと心の中では思い切り拍手を送り、耳の奥ではダーウィンの有名な言葉が鳴り響いていました。
最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるものでもない。唯一生き残ることができるのは、変化できる者である。
チャールズ ダーウィン地球の名言より引用。
