こんにちは。
シンガポールの出張ピアノ教室
fairy wish creation 講師の
塚越 則子(つかごし のりこ)です。
今日は、人前での演奏のときの緊張についてのお話です。
子どもたちと接していると、発表会など、人前に立った時、普段と違う様子が見られることがあります。
当ピアノ教室の発表会では、練習の成果を発揮して、ピリッとした空気の中でも伸び伸びと演奏をする、頼もしいお子さんばかりです。
たとえどんなに幼くても、ステージで尻込みして泣いてしまったり、途中で演奏をやめるお子さんは1人もいません。なぜかというと
練習の中で少しずつ自覚を促していくから
発表会の練習では、成長のためにお家の方にも「観客」になっていただいたり、本番を意識したトレーニングにご協力をお願いすることもありますよ。
ステージを離れると照れ屋さんだったり恥ずかしがり屋さんが多いことも、当ピアノ教室のカラーのひとつなのですが、お家の方も、本番までの練習を通して、我が子の意外な面を発見したり、急な成長にびっくりされることも多いです。ちなみに
当ピアノ教室の発表会の歴代最年少の演奏者は2歳半さんです。
それにしてもみなさん!
改めてよ〜く考えてみると
小さな子が、たった一人で大きな舞台に立ち、普段は経験のないスポットライトをガンガン浴びながら、大勢に注目されている中でピアノを弾くなんて
かなり非日常的なシチュエーション
だと思いませんか?
私は、ピアノ指導者として以前に、1人の人として、演奏の出来栄えと言う次元ではなく、まず発表会に参加する時点で、みんなすごいよ、とても立派だよ!と、無条件に褒めちぎってしまいたくなります。甘いでしょうか?
自分が主催する側のときは気が張っていますが、親しいバレエの先生に発表会のご招待を受けて鑑賞させていただく時などは、演目が始まる前、舞台の袖からサササササーっと姿を現したおチビちゃんのおすましした表情を見ただけで、一気に涙腺が崩壊してしまうのをこらえるのに、いつも悪戦苦闘です(汗)
ここまで仕上げるのにどんなに大変だったことか…..
大人の生徒さんにしても、それは同じです。
大勢を前に演奏するなんて、考えただけで倒れてしまいそう….
そんな気持ちはみなさん一緒だと思いますが、そこを自らの力で乗り越え、あえて挑戦しようとする勇気や向上心に手放しで拍手喝采です!!!!!
残念なエピソード。
余談ですが、数年前、発表会が間近に迫ったある日、知り合いから
「今年の発表会は上手な子がいるの?」
と訊かれ、思わず
「え? わたしの生徒さんたちは、みんな全員上手だから」
と、思わずムッとして返してしまったことがありました。(大人げないなと反省ですが…)
私の語気の強さが意外だったようで、その人は一瞬たじろぎ
「いや、もちろんそうだけど、〇〇←(作曲家)の〇〇←(曲名)みたいな曲を弾く子はいるのかな?と思ったから」
「去年の〇〇ちゃん←(当ピアノ教室で7年間ピアノを習い、発表会後に本帰国をした中学生の生徒さん)を継ぐような、うまい子」
と会話を続けたので唖然としてしまい
「生徒さんは一人一人みんな違うから誰かの代わりなんていないし、そもそも後を継ぐってなあに?」
というと、その人は黙ってしまいました。
おそらく私の真意は、この先も伝わらないと思います。
分かり合えなくても仕方がないなぁ。そうも思います。なぜならば
そういったニュアンスで音楽を扱う人たちが世の中には一定数いることを、長年の経験でよく知っているからです。
発表会で大切なこと。
どんなに優れたバッグでも、それが世間に認知された、誰でも一目でわかる、アイコン的ロゴが目立つところに配置された、ハイブランドのものでなければ価値を見出せないと感じる人たちがいるのと同じ。
どちらがいい、よくないの話ではなく、それは音に対する感度の違い、感覚や感性、ひいては物事に対する価値観の違い。だから正解はないのでしょうけれど、私は、毎年発表会が終わるたびに
「去年に比べて、すごくうまくなっていてビックリしました!努力したんですね。」
「間違えても止まらずに一生懸命に弾いている姿に思わず感動して涙が溢れてしまいました」
「初めて耳にした曲でしたが、あんな難しい曲を、あそこまで弾きこなすなんて、どれだけ練習したのだろうと想像すると胸にズーンと響く演奏でした」
といった、崇高な眼差しで一人一人の本番を見守り、愛弟子たちの成長を共に喜んでくださる保護者の方々に囲まれていて
ああ、恵まれた環境でレッスンができてホントに幸せだな♡
いろいろと大変だけれど、やっぱり今年も発表会を開催してよかったな♡
と、報われるような気持ちで満たされます。
発表会は、その本番一度だけの演奏を指すものではありません。練習の過程から全てが発表会。だからお伝えしたい。
一度だけの演奏だけで軽々しく評価しないでほしい
と。本番の出来栄えはもちろん大切ですが、何よりも素晴らしく価値のあることは
本番まで投げ出さず逃げ出さずに最後までやり切った
ことだから。
発表会は合否を決める試験でもなければ、勝ち負けを争うコンクールでもない。ましてや生徒さんたちの品評会でもありませんからね。
そこを履き違えて、努力の方向を間違えてしまうと、余計な邪念が入り、練習も思うようにはかどらなくなり、本番でも緊張をうまく味方につけて流れに乗った演奏をすることができないのですよ。
見落としがちですが、本番では、身体もいつもとは違う反応を示すため、軽くあなどることはできません。相応の準備が必要になります。発表会直前のレッスンでは、その対策もキチンと伝えます。たとえば「はおりもの」や「自分専用のハンカチ」を持参することなどがそうです。
手の先がしっとり冷たくなる……
これは緊張しているから。日本の冬のコンサート会場でのように、指がかじかんでいるのではありません。
シンガポールでは、どんなにエアコンが効いていても、室内が18℃以下になることはないので、寒さで凍える状況はあり得ません。
これは、極度の緊張で交感神経が優位になり血流が鈍っている状態。じっとりと汗ばんでいるのがその証拠ですが
経験のない人には説明しても理解できません。
本番は誰でも緊張します。それが自然です。恥ずかしいことではありません。
「練習ではうまくできていたのに、どうして?」
ということは「誰にでも」起こり得ます。
でも、そんなとき
「私は本番に弱いんだ」
と落ち込まないでください。おうちの方は
「ウチの子は、本番に弱いタイプだから」
と、決めつけたりしないでくださいね。
それと同時に大切なことは、もし納得のいく出来栄えではなかったとしても
犯人探しをしないこと
原因は決して一つではないからです。
たとえば譜面を持ってくるのを忘れたからミスをしたとしましょう。では譜面があればノーミスで演奏ができたと言い切れますか?
自信を持ってYESと答えられる人は誰もいないはずです。だから
どんな理由があるにせよ、言い訳をせず「ミスはミス」と潔く認めてこそ(難しいけれど)、失敗の経験を糧にして成長するリカバリー力が身につき、次に活かすことができるのです。
緊張は経験を積むことで味方につけていくことができます。本番が近づくにつれ、お家の方も生徒さん本人も徐々にナーバスになっていきますが
当ピアノ教室では、発表会が近くなると、演奏の総仕上げとともに、人前での演奏を数々経験しているアーティストとしての立場から、また、発表会を主催する経験を長年積んでいる指導者の立場からの双方から【本番に飲み込まれないためのコツ】なども少しずつお伝えしていきます。
よい演奏のために「緊張感」は不可欠です。
ピアノの発表会の本番に向けての心身の調整は、アスリートの調整の仕方と実によく似ています。
アスリートも、試合で毎回結果が出せるとは限りません。
でも目標に向けて最大限の努力をしています。
結果はどうであれ、本番に向けて努力を積み重ねていくことが一番大事で、そのプロセスが人を成長させます。
もし、失敗したとしても失敗は経験という財産でありチャレンジした人だけが得られる勲章だということを、どうか忘れないでくださいね。
発表会で得た全ての経験は、ピアノだけでなく、試合、受験、就職など、他の分野へのチャレンジにも必ず活かされます。
当ピアノ教室の発表会は、一人一人が努力して成長する喜びを体験するイベントです。
頑張ることを楽しむ心を育てる
当ピアノ教室のレッスンは、新時代にふさわしい、ワンランク上の心と音楽を学ぶレッスンです。
ピアノを学ぶことを通して、これからの時代を生きるために必要な「人間力」を育てます。
当ピアノ教室は、シンガポールで最も長い指導歴を持つ日本人のピアノの先生が主宰している出張専門のピアノ教室です。
1992年来星。シンガポールPR(永住権)保有者。