こんにちは。
シンガポールの出張ピアノ教室 fairy wish creation
講師の塚越則子です。
先週のMちゃん(8歳)の指導の中で、確かな「心の成長」を感じて、嬉しくなった則子先生です✨
次の課題を決めようと、2人で相談をしていたところ、何曲かの候補の中から、Mちゃん自ら
「弾いてみる😃」
「これにする😃」
と選んだのは、意外な曲でした。
テキストはもう、このずっと先まで進んでおり、Mちゃんにとって、この曲はテクニック的には難なく弾けてしまうレベルです。
しかし、この曲にいま取り組むことは、Mちゃんと私にとって大きな意味がありました。
約1年前
Mちゃんは、ひたすら、かたくなに、この曲を弾くことを拒んでいました。
その理由は
さびしい音だから。
ピアノ経験者の方は、この楽譜を見たら、音を出さなくても長調、短調の判別が瞬時にでき、雰囲気も同時に想像できると思うのですが
この曲は、Mちゃんにとって、初めて経験する
マイナースケールの曲
でした。
挿絵では、アヒルが涙を流しています。
Mちゃんは、幼いながらに何かを敏感に感じ取ったに違いありません。
「悲しい響きの曲なんだよ」
と言いながら、少し音を出してみた途端に
イヤだ‼️
と、激しく首を振っていたことを覚えています。
「弾いたら好きになるかもしれないから、練習してみてごらん」
と、いったん預けたものの、翌週も、やはり気持ちは変わりませんでした。
ですので、則子先生は、この曲を飛ばすことにしたのです。
正論だけでは良い指導はできない。
本来であれば、テキストは教科書ですから順番通りに進めなくてはいけない。
でも、それってあくまでも
指導者側の正論
でしかありません。
正論をふりかざす教育って、すごく危ういと、私は長年の経験から実感しています。なぜなら
正論を盾に生徒さんを無意識に追い込んだり傷つけたり、場合によっては才能をつぶしてしまうことだってあるから。
すなわち、よくないところに焦点をあて、そこを集中して突いているような状態なわけです。
すごくこわいじゃないですか😨
誰だって苦しいし、反射的に逃げたくなります。
Mちゃんが、マイナーの曲がイヤだと言ったとき、私は
おやっ⁉️
と思いました。
この感性は強みになり得ると直感したからです。
音の性格の違いを聞き分けて、好き嫌いをきちんと主張できる。
これって実は凄いことなんですよ😃
だから私は別のアプローチから攻めて、この強みを積極的に活かすことにしたのです。
そして私は知っていました。
初めてのことに直面したとき、たとえ興味があっても
まずはリジェクトして、防御体制を固める
そんな慎重派のMちゃん。
そういうタイプのお子さんって、機が熟せば驚くほどのパワーを発揮するんですよね。
熟成能力や判断力に長けている。
力をしばらく温存して倍増させ、チャンスを待つ辛抱強さもある。
でも、その力は
よーくよーーーくよーーーーく
見てないと見つけられない。
心の目もしっかり見開いていないと見抜けない。
時にやる気に欠けているように評価されてしまいがちなんです、特に
「団塊ジュニア世代」いわゆる「就職氷河期時代」を果敢に生き抜き、それなりの結果を出してきた、優秀な大人たちから。。。
ちなみに則子先生は、その少し前の
バブル時代を、20代のころに謳歌した、イケイケ世代(笑)です。
話を戻しますね。
Mちゃんは3歳から当ピアノ教室でレッスンをしています。
初めての発表会は、「キラキラ星」のおうたで参加しました。
レッスンは順調に進んで、着実に上達していますので
別にマイナースケールの勉強にこだわって、そこを経由して指導をしなくてはいけない理由など全くありません。
指導の方法は、工夫次第で無限にある
わけですから。無理強いしたり、縛りつける必要などない。
2025年の発表会の曲は、メジャースケールでもなく、マイナースケールでもない、特別なスケールを駆使した曲を、あえて選曲しました。
それもダンパーペダルつき、さらに
クロスハンド😃
否が応でも、気持ちが上がる。
そんな、とびっきり贅沢なシチュエーションを、コッソリとお膳立てしたのです。
そして、初めて尽くしの環境で自信を培ったいま
Mちゃんは、マイナースケールへの後ろ向きなイメージをも払拭させることに成功しました。
自分の力でね。
「たのしいきもちばっかりじゃないよね」
「げんきがないときもあるでしょう?」
「この曲は、そんな心を表している曲なんだよ」
と言うと、ちょっとニヤッとして、深くうなずいていたMちゃん。
その横顔には確かな自信がみなぎっていたのを則子先生は見逃しませんでしたよ。
また一つ、新しい音楽の世界の扉が開きました😃
好きなポストイットを選び
つぎはこのきょく
と書き込みをして、曲のページに貼って、めでたく準備完了。
これは、則子先生がよく使う
決意表明
の際の指導テクニック。
自分で書くから忘れない。
より自覚が高まるし
自分で決めたことに責任を持って取り組む力が育つのです。
それにしても…
小さな紙にきちんと収まるサイズで書けているし
バランスも良く、筆圧もしっかりしていることに改めて感動しました😭
冷静に考えれば、8歳ともなれば、できて当たり前なのかもしれないのですが…
3歳から毎週レッスンで会っていてもなお、その成長に目を見張ることが頻繁にあり、新鮮な驚きもしょっちゅう。
ああ…..
子どもって、本当に
あっというまに成長してしまいますね😆
ゆっくりでいいのになぁ…
当ピアノ教室では、一人一人の心の成長にも目を向けています。
ピアノの上達は、指先の動きだけでは測れません。
音を通して心が揺れ、感じ、考え、やがて自分の中で答えを見つけていく。
その過程こそが、子どもたちが「音楽とともに生きる力」を育んでいく、かけがえのない時間なのだと思います。
小さな「できた!」の裏にある、たくさんの「感じた」「考えた」を、これからも丁寧に見つめながら、これからも、一人一人の心の成長に寄り添っていきたいと思います。
お子さまが音を通して心を豊かに育てていく、その瞬間を、保護者の皆さまと一緒に見守る
それが、私にとって何よりの喜びです。✨
どこよりも手厚く、きめ細やかなピアノ指導で、シンガポール在住日本人ご家族との信頼の絆を築いて34年。
頑張ることを楽しむ心を育てる
当ピアノ教室のレッスンは、ワンランク上の心と音楽を学ぶレッスンです。
ピアノを学ぶことを通して、これからの時代を生きるために必要な「人間力」を育てます。
当ピアノ教室は、300人以上の生徒さんたちを育て上げた経験を持つ、シンガポールで一番長い指導歴の日本人のピアノの先生が主宰している出張専門のピアノ教室です。