こんにちは。
シンガポールの出張ピアノ教室
fairy wish creation
塚越 則子(つかごし のりこ)です。

 

 

1992年に来星。Good Wood Park Hotelの専属ピアニストとして演奏中、駐在員ご家族にお声掛けいただいたことをきっかけに、シンガポール在住の日本人にピアノ指導を始めて今年29年目を迎えました。

 

 

シンガポールで1番長い指導歴の日本人ピアノ講師です。

 

プロフィール

 

 

先日、友人のSNS投稿を見て心和みました。30年来の付き合いの、ヤマハ時代の元同僚です。

 

ヤマハデモンストレーター時代

 

 

そこには、きれいな景色を目の前にして、自分の親しい人達の幸運を祈ったことが書かれていました。

 

 

 

 

 

 

音楽のプロフェッショナルとして一流の仕事人なのは勿論のこと、それ以前に、1人の人間として、どんな状況でも他人を思いやる優しい気持ちや謙虚さを常に忘れない彼女は、私の誇りです。

 

 

 

良いピアノ演奏に必要なマインド。よい演奏と一口にっても内容は多岐にわたり、色々意見が分かれるところですが、今日はスキルではなくマインド(心、精神)に特化して、よい演奏とは「心を動かされる演奏」と定義をして話を進めていきたいと思います。

 

 

 

結論から言うと、私は、良いピアノ演奏に必要なのは【他者目線を持つ】ことだと考えます。

 

 

他者目線とは

 

 

簡単に説明すると

 

相手の立場に立って、相手の思いを想像し、相手の視点から物事を考える

 

ということです。共感力と言い換えることもできるでしょう。

 

 

 

 

演奏者の年齢に関係なく、プロ、アマも関係ありません。また演奏する時に1人か、誰かが目の前にいるかどうかも関係ありません。

 

 

しかし不思議なことに、奏でる一つ一つの音に【聴いてもらおうと思う気持ち】があるかないかで、奏でる音に歴然とした差が生み出されていくのです。

 

 

スキルが未熟であっても、心を動かされる演奏があります。
反対に、隙のない演奏であっても、単に腕に溺れて、ひとりよがりにしか感じられない演奏もあります。

 

その違いは一体どこから生まれるのでしょう。

 

私は、演奏者の心のあり方の違いによるものだと思っています。

 

 

 

 

 

 

普段から相手の立場に立って物事を考えることができるか、相手の気持ちを想像して行動しようとする気持ちがあるかどうか。状況には関係ありません。それは人としての本質の部分です。

 

 

ピアノに向かっているとき以外の時の心のあり様は、その人が奏でる音の表情に出ます。音は人の手から瞬間瞬間に生み出さていくものなので飾りようがなく、ごまかしや嘘偽りのないその人自身の現れだからです。

 

 

その音には心が入っていますか?

 

 

言葉一つ取ってみても、違いはわかります。

 

相手を思いやる優しい気持ちからの言葉なのか、自分に有利なように物事を動かそうとしている言葉なのか、人は敏感にその違いを、言葉以外の情報も動員して、肌感覚として感じ取っています。

 

 

 

どんなに美辞麗句を並べられても、一向に言葉が心に響いてこないばかりか別の本心が見え隠れ。。。皆さんも一度はそんな経験ありますよね?

 

 

私はそんな時、わかっていても黙ってスルーです。(笑)

 

 

ピアノの演奏に話を戻しましょう。普段から自分優先で、自分に有利なことや自分の利益ばかり考えていると、知らず知らずのうちに、ひとりよがりで自己陶酔や自画自賛に満ちた音になり、1人だけの完結した閉じた世界の演奏になってしまいます。

 

 

 

しかし本人にはその自覚がないので、より良い演奏を求めて、さらにスキル習得にひたすら没頭するか、またはその反対に、理解できない周りが悪い、と責任転嫁して焦りと混乱の中で負のスパイラルに巻き込まれた挙句に、やがて挫折への道を辿ることになります。

 

 

 

 

 

スキルばかりを必死になって頑固に磨いたとしても、音に命が宿ることはなく、ピアノは決して良い音を奏でてはくれません。人の気持ちを動かす演奏もできません。

 

 

 

相手を思う心は音に素直に現れます。
優しい音を出したかったら普段から優しくあればいいのです。
清らかな音を出したかったかったら普段から清らかであればいいのです。ただそれだけ。とてもシンプルなのです。

 

 

 

優しい音を出す技法や、清らかな音を出す、万人に共通した腕のフォームなど存在しないのです。YouTubeを隅から隅まで探しても求める答えはそこにありません。

 

 

 

ピアノ演奏だけじゃない、これからの時代に必要な【他者目線】

 

 

ビジネスマンの友人に、そんな話をすると

「それって、Customer’s Satisfactionだね」

と答えが返ってきました。

 

 

こんな話をすると決まって

「いや、自分はビジネスマンではないから、そんなこと関係ないし」と屁理屈をいう人がいそうですが、要は同じことです。

 

 

 

たとえ違う世界の話でも、積極的に学んで行こうとする姿勢は、相手を知ろうとする思いやりそのものです。

 

 

 

ピアノに限ったことではなく相手の立場に立って、一歩下がった行動ができる謙虚な姿勢を持ち続けることは、これからの時代を幸せに生きていく上で大切な心がけの一つなのです。

 

 

 

 

 

ニューノーマル時代に入り、人と人とが共にお互いに命を守るために協力し合い、生き残るために助け合うことがより求められる新しい世界になりました。

 

 

 

他者目線を育てることは、これからの時代に必要不可欠で、自分のことだけ考えて相手の気持ちや状況を理解しようとせず、損得感情だけで動こうとしていたならば誰も相手にしてくれなくなって、やがて孤立していくことでしょう。

 

 

 

それはネットの世界でも同じことが言えます。一昔前とは違って関係性はより密にリアルになり、その流れは今年になって更に加速しました。

 

 

 

 

当ピアノ教室には最近、ご家族の誕生日にハッピーバースデーを弾いてピアニストデビューを果たした4歳の男の子の生徒さんや、ストリートピアノへ参加して、知らないお友達ともピアノを通じて交流を深めた7歳の女の子の生徒さんがおられます。

 

 

 

聴いてくれる相手を思いながら演奏することで音に優しいまろやかさが加わりましたよ。ピアノを中心にしてご家族の笑顔の輪が広がっているようです、大変素晴らしいですね。

 

 

5歳ピアニストくん/弟さんの一歳のお誕生日会で華々しくデビュー

 

まさに進化論?!/ストリートピアノデビューの一年生の女の子

 

 

 

演奏者の聴いてくれる人への想いは必ず伝わります。また、演奏で心を動かされた聴き手の感動も必ず演奏者に返ってきます。その温かな思いのキャッチボールは、演奏者の奏でる喜びをさらに増幅し、ピアノ以外のことへも自信を持って進むことができる、揺るぎない自己肯定感を生み出していくのです。

 

 

 

 

 

 

ピアノを学ぶことは単なるピアノの演奏スキルの習得ではありません。健全な心を育て、心を磨いていくことでもあります。

 

 

 

当ピアノ教室では、ピアノレッスンを通して豊かな感受性を育み、生徒さん一人一人の人間力を高めていきます。

 

指導方針