こんにちは。
シンガポールの出張ピアノ教室
fairy wish creation 講師の
塚越 則子(つかごし のりこ)です。
当ピアノ教室では、今週から、シンガポールの大幅な規制緩和に伴い、マスクを外してレッスンをしています。
このときが来るのを、どんなに待ちわびていたことか。
この2年半あまりの間、お互いマスク姿で出会い、マスク姿でしか会わないまま本帰国を見送った生徒さんが何人かおられ
そのたびに、何ともいえないやりきれなさを感じていた私ですが
もう、そんなつらい思いをしなくてもいいのだと思うと、今度は嬉しさの涙が溢れてきそうになります。
待ちに待った、あたりまえの日常の中での出張レッスンが、やっと戻ってきました!
生徒さんたちの表情は、やはりマスクを外すと全く違いますね。
イキイキと輝いてる、そして
もれなく、テンション高めです。
開放感も、ハンパない!
お母さんたちとも、より距離が近くなった感じで嬉しい!少し照れ臭いけれど(笑)
新しい発見もあります。
あ、こんなところにエクボがあるんだ♬
とかね。
レッスンを始めてちょうど1年が経った、5歳のMちゃんは、はじめてのナイショ話をしてくれましたよ。
「よくできたから、あとでお母さんに聴いてもらう?」
と尋ねると、小さく首を振って、顔をそばに寄せてきたかと思うと、そっと耳打ち。
「ビデオがいい」
ですって♬
Teacher’s dayメッセージ、ありがとう♡
年上の生徒さんたちの反応は、またちょっと違います。
中学1年生のAちゃんは、最近学校を移ったばかり。
新しい学校先では、カルチャーショックに次々と遭遇しているようで、刺激に満ちた学校生活の様子を、事細かに熱く語ってくれました。(時に涙まじり)
受け入れがたい出来事に、悶々としたりもするようですが
「いろいろな人がいて、その違いを学ぶことも大切なんだなって思ったりしてます」
と、単なる愚痴に終わらせず、会話をキレイにまとめたのには”さすがだな”と感心しました。
13歳って、大人なみに(大人以上?!)深く物事を考えられる力があるのですね。
「ピアノ弾いたらスキっとしました!」
とは、レッスンを終えた別れ際のAちゃんの言葉。
お母さんは、常々こうおっしゃっています。
「いろいろ話も聞いてやってくださいね。私には言わないことも、きっとあると思うんで。」
揺れ動く、ナイーヴなお年頃の生徒さんとの接し方。
心理士によると、子どもの健全な心の成長を促すためには「母子カプセル」を外すことが重要なんだそうです。
「母子カプセル」とは、母子の距離感が近く、2人だけの世界に安住している状態をいいます。
子どもは赤ちゃん時代、母親との密着関係、つまり母子カプセルを必要とする時代を過ぎ、成長と共にカプセルを抜け出し、他人や社会とのかかわりを増やしていきます。
さらに、児童期から思春期にかけては教師や習い事などの指導者に導かれたり、友人と学び合うことで、「親に頼らなくても、社会の中で生きていける」という自立心を築いていきます。
親子の仲が良いのは素晴らしいことですが、関係が親密すぎると「共依存」(特定の人間関係へのアディクション)の状態になり、親子それぞれの心の成長や心の健康に歪みを作ってしまうことがあります。
生まれたばかりの乳児にとっては、母親以外の世界は存在しません。だから「母子カプセル化」は、ごく当たり前であり、かつ必要なものです。
しかし、だんだん成長すると共に、子どもは、親とは別な世界を作り出していって、親との間に境界が引かれ、自立していきます。
この親―子の境界を心理学用語では「世代境界(せだいきょうかい)」といいます。
お母さんが勝手に部屋に入ってきたりすると不快感を示したり、指図されるのを嫌がって反抗したりするのは専門家に言わせると、いたって健全な証なのだそう。
子どもは思春期に、怒りのパワーでカプセルを壊して自立していくのだそうです。
「母子カプセル」が外れないと
◆成長していっても母親がいないと自分では何もできない
◆自分に自信が持てなくて自己主張ができない
さらに
◆失敗を極端に嫌い、挑戦することに臆病になったり
◆ちょっとしたことでも激しく落ち込んだり
◆立ち直る方法がわからず引きこもりがちになってしまう
などの問題が起こりやすくなるのだそうです。
ちょっと長めに専門的な話をさせていただいたのには訳があります。
当ピアノ教室では、難しい年代に差し掛かっているお子さんも、歴代何人もお預かりした経験があり
出張レッスンに伺った先で、お母さんから子育てのお悩みを打ち明けられることがよくあるのですが
何を考えているのかわからない
何も話してくれない
そう嘆くお母さんに対して
大丈夫ですよ♡
とかける言葉が、単なる慰めじゃなく、ちゃんとした根拠があることを知っていただき、自信を持って、安心してほしいと思ったからです。
実は、則子せんせーは、幼児、児童、思春期の子ども、それぞれの心理を学ぶ日本発のオンライン勉強会に不定期で参加しています。
教育に携わっている先生方が対象で、平日の夜10時から(日本時間)と遅いスタートで結構ハードなのですが
受講者が音楽関係の教育者だけではない勉強の場を、あえて選んで正解だったなと感じています。
ディスカッションを通じ、幅広い視点で物事を俯瞰し、深く考える力と対応力が身につけば、レッスンに活かすことができますしね。
ピアノの技術を伝えるだけのピアノの先生では物足りない!
もっと深く、もっときめ細やかに、一人一人の成長にかかわっていきたいです。
気持ちがざわつく世代の子どもに対して、親は決して「何もできない」わけじゃありません。
大人への一歩を踏み出した年代の子どもにとっては「何もしない」で「信じて」「黙って見守る」←(これが1番難しい!)ことこそ最強のサポートなのです。
ピアノの音が教えてくれた、心の叫び。
小学6年生のKちゃんは、普段から寡黙なタイプですが
マスクを外した初めてのレッスンでは、複雑な思いを抱えていることを口にすることなく黙ったまま、心に秘めた切なる思いをピアノの音に託して訴えかけてきました。
Kちゃんは、この秋、日本での中学受験を控えています。最初の本番は10月。ピアノの発表会の数週間前です。
お母さんによると
現在、受験勉強は佳境に入っており、毎日大変過密なスケジュールなのだそうですが
深夜まで勉強をしたあと、自室でヘッドフォンをして、1人黙々とピアノを練習していることも、よくあるのだそうです。
先日は、ピアノレッスンを終えたあと、おにぎりを頬張り、急いで塾へ向かっていました。
自習室で勉強をするそうです。その方が集中できるのだそうです。息つく暇もないような毎日ですが、それでもKちゃんは
ピアノのレッスンを続けたい!
ピアノが好き!
中途半端にしたくない!
と、嘘偽りのない心の言葉を、音で必死に伝えてきました。
だけど、無理をさせるわけにはいきません。
今はお勉強が最優先。
突然、私の頭の中に、誰もが納得するであろう、とびっきりの妙案が浮かびました! それは、ここでは秘密にさせていただきますが…..
それを伝えると、みるみるうちにKちゃんの顔が明るくなっていくのがわかりました。
マスクを外しての初めてのレッスンで、こんな特別な笑顔を見ることができて、指導者として、こんな幸せなことはありません。
明日は、早速「作業」に取り掛かりますよ♬
Kちゃん、則子せんせーも頑張る! 心を預けてくれたんだもの。
心で信頼に応えなくちゃね♡
お母さーん、期待してください♬
2年半ぶりにマスクを外してレッスンをしても、つい、いつもの声量で話をしてしまい、自分の声の大きさにびっくりして、あわててボリュームを下げる毎日です。つくづく、慣れってこわいですね。。。
頑張ることを楽しむ心を育てる
当ピアノ教室のレッスンは、新時代にふさわしい、ワンランク上の心と音楽を学ぶレッスンです。
ピアノを学ぶことを通して、これからの時代を生きるために必要な「人間力」を育てます。
当ピアノ教室は、シンガポールで最も長い指導歴を持つ日本人のピアノの先生が主宰している出張専門のピアノ教室です。
1992年来星。シンガポールPR(永住権)保有者。