こんにちは。
シンガポールの出張ピアノ教室 fairy wish creation
講師の 塚越 則子です。
今日は、以前の投稿の続編です。
当ピアノ教室では、本帰国を前にした生徒さんのご両親から、シンガポールで大切に使っていたピアノの未来を託されることがよくあります。
「大事にしていた、思い入れのある楽器だから、則子先生の生徒さんならば安心してお譲りできます!」
「もし欲しい方がいらしたらぜひ✨」
このようにおっしゃっていただくと俄然、張り切ってしまいます。
お話をいただくのは楽器だけではありません。
数回着用しただけでサイズアウトしてしまった発表会用のフォーマルドレスや靴。
今週、来週の出張レッスンでは、新品同様のコンディションの「この子たち」の、次の活躍の場を作るお手伝いに奮闘です。
先日、21.5センチの靴の嫁ぎ先が真っ先に決まりました。
予想していた通りの展開です。
みなさん、苦労なさいますよね?!
演奏会用のフォーマルドレスにコーディネートするのに適した、低いかかとで、甲にストラップのついた女の子用の靴を探すのは、とても大変だということを、私は自分の経験からも熟知しています。
特に21センチ以上の子どもの靴は、いざ探そうとなると、なかなか良いデザインが見つからないため
小学校高学年の頃は普段から、母と出かけた先で、たまたまいい雰囲気の靴に出会うと躊躇なく即、購入し、常に次のステージに備えていたことを覚えています。
普段、あちこち歩き回る時とは用途が違うので、履きごごちを慎重に確かめる必要はありません。「デザインとサイズのみ」で決めてしまってOKなのです。
大きめの靴は爪先に布を入れたり、底がツルツルで床張りのステージでカツカツ音がなってしまいそうな靴にはフエルトを貼ったり「自分仕様」にして使っていましたよ。
私は小学3年生からヤマハのジュニアオリジナルコンサート(通称JOC)の活動をしていたのですが、不思議なもので、靴やドレスを用意すると演奏の依頼が入り
「あのとき買っておいて助かったね」
となるのでした。
そして、それは靴やドレスに限らなかったのです。
社会人になりたての20代前半の頃、母と買い物に出かけた際、地元の「横浜そごう」で、たまたま見かけた、サムソナイトのスーツケースの色に一目惚れしたことがありました。そんな私の気配を鋭く察した店員さんが
「これは、横浜そごうのオリジナルカラーで、数量限定販売なんですよ、きれいですよね!」
と説明してくださり、それを耳にした母は
「いいじゃない、則子ちゃん」
と、一気に前のめり。しかし私は、心惹かれつつも
「こんなに大きなサイズは今必要じゃないし….」
と一歩踏み出せずにいたのですが、母は
「持っておけば必要になるものなのよ」
「気に入ったのなら決めたらいいじゃない」
と、私の思いなど、どこ吹く風。。。
「そんなものなのかなぁ」
と半信半疑で求めたところ、母の言った通りになり、驚きました。
海外の長期のデモンストレーション演奏とプレゼンの仕事が舞い込んだのは、それから2か月ほどした頃です。
それまでの海外の演奏や諸外国のピアノの先生方への研修の仕事は長くても1週間だったのですが、このときは新商品のプレゼンも含めて、初めての2週間を越える長期の海外での仕事でした。
プレゼンの仕事は、私の演奏が、各国のヤマハ特約店やディーラーさんの受注台数に直接影響するため、やり甲斐がある一方で、プレッシャーも半端ではありませんでしたが、良い成績を収めることができ、上司からお褒めの言葉をいただいてホッとしたことをよく覚えています。
香港、シンガポール、タイ、台湾を周る間、真新しいエメラルドグリーンのスーツケースは私とともにあり、1日の終わりのホテルの部屋では、美しい色合いで緊張と疲れをほぐしてくれました。
話が飛びましたが….
発表会用のドレスや靴は、単なる「お古」ではありません。
たくさんのデザインの中から、迷いに迷って一着を選び出したとき、本番当日の姿をあれこれ想像しながら、ウキウキ、ワクワクした、華やいだ気持ちで心が満たされていたはずです。ですから
ドレスや靴には、成功や幸せへの願いが宿っているに違いない
そう信じています。
生徒さんの着られなくなったピアノの発表会のフォーマルドレスや靴のお譲り先を探す作業は、広い意味でとらえればピアノに関連していると言えなくもないですが、レッスンとは関係がなく、指導の仕事にも含まれない、いわば「雑用」に他ならないため
通常ピアノの先生は、仮に依頼を受けても積極的に請け負うことを好みません。(プライドの高い方ならご機嫌を損ねてしまうかも知れませんね…)
「このようなこと」に「喜んで」関わっているのは、シンガポールでも則子先生だけだということは充分承知ですが
笑われたって何したって私、へっちゃらです。(笑) なぜなら
信頼して委ねてくださるのがわかるし、それが嬉しく、誇らしいから。
我が子の成長の喜びや、将来への期待が込められたドレスや靴が、ピアノを通して人から人へと受け継がれ、その先で温かな絆が芽生えていくことに素直に感動しています。
眠りから覚めたドレスや靴は、新たな活躍の場で、どんな輝きを放つでしょうか。
今からとても楽しみです。
どこよりも手厚く、きめ細やかなピアノ指導で、シンガポールの駐在員日本人ご家族との信頼の絆を築いて32年。
頑張ることを楽しむ心を育てる
当ピアノ教室のレッスンは、ワンランク上の心と音楽を学ぶレッスンです。
ピアノを学ぶことを通して、これからの時代を生きるために必要な「人間力」を育てます。
当ピアノ教室は、300人以上の生徒さんたちを育て上げた経験を持つ、シンガポールで一番長い指導歴の日本人のピアノの先生が主宰している出張専門のピアノ教室です。