こんにちは。
シンガポールの出張ピアノ教室
fairy wish creation
塚越 則子(つかごし のりこ)です。
1992年に来星し、GOODWOOD PARK HOTELの専属ピアニストとして演奏中 、駐在員ご家族のお子様へのピアノ指導のご依頼を受けて以来、ご紹介ベースでの出張ピアノレッスンがシンガポールでの活動のメインとなって現在に至ります。
先月在住29年目に入りました!
来星当時はマーライオンがシンガポールの唯一のシンボル。(世界3大ガッカリと呼ばれていましたね 笑)日本人ピアノ指導者は私以外にまだ誰もいない時代でした。
さて早速ですが、みなさんには「同士」と呼べる人はいますか?
業種の壁や立場の違いを超えて深くお互いを認め合い志を共有する「仲間」はいますか?
先日、私にとってのそんな人に何気ない雑談の中で聞いてみたかった質問を思い切ってぶつけてみました。
たくさんの人の命を預かる仕事に従事する責任ある立場の人です。
♦︎仕事とは?
貢献。
♦︎どんな人と仕事をしたい?
正直な人。
♦︎もし新入社員採用試験の試験官だとしたら試験で何をしてもらう?
何でもいいから何か物を作ってもらう。
♦︎その理由は?
物を作る様子から仕事への取り組み方や人柄を見たいから。器用さは関係ない。
正直と正義は違う。
正直はぶれない。
正義は主張。個性でもあるけれど。
単語の一つ一つに強いインパクトを感じ、じっくり物事を考えるのが好きな私は、その真意を全て完璧に自分の中へ落とし込むまで何日も何日もかかりました。
しばらくは核心に触れる手応えがなかなかつかめずにいたのですが、ふとした瞬間、私も同じように、その言葉の示す姿勢でこれまでの長い間、仕事に向き合ってきていたことに気がついたのです。
言葉にして改めて考えたことは今まで一度もありませんでした。
貢献に対して正直でありブレない
正直とは、見せかけやごまかしや偽りのないことです。
シンガポールに移住するまで、私は指導の仕事と並行して、国内外でアーティストとして演奏の仕事をしていました。
9歳の頃からヤマハJOCで演奏活動をしていて音楽漬けの生活を送り、小学生のうちにヤマハ認定グレードでピアノ、エレクトーン双方の指導者の資格を取得済みでしたので将来音楽で身を立てていくことに迷いはありませんでしたが一方で、音楽の世界だけに偏らずに生きることへの強い憧れがありました。
元来の好奇心の強さも影響し、音楽業界の中とはいえ選り好みせずチャンスがあれば積極的に体当たりで挑み、ジャンルを問わずに仕事をするように心がけてきました。
広い視野で物事を見ることができる深みのある人間を目指すことは音楽性の向上に繋がっていきます。
キャリアを積み重ねていく過程で、たくさんの現場で多彩な異業種の方々とも接し、叱咤激励の中で多くの事を学ぶことができたことは大変ありがたく、経験は全て心強い後ろ盾となり現在の「生きた糧」となっています。
ヤマハのデモンストレーター時代はヤマハでのアーティスト活動と併せて、外部プロダクションなどから依頼を受けての演奏活動もありました。
その一つがブライダルプレイヤーの仕事です。
品川プリンス、高輪プリンス、旧虎ノ門パストラル(東京ワールドゲート虎ノ門トラストタワー)が主な稼働場所で、ブライダルプレイヤーの仕事内容はチャペル式ウェディング挙式でのウェディング行進曲演奏や賛美歌演奏、披露宴での演奏などです。
一生に一度のセレモニーの仕事では、失敗は200%許されません。
100%では足りないのです。
自分の想定の範囲を超えた次元に対してもプロとして「どんな状況下でも自分の音に全て責任を持つこと」があたりまえに求められます。
具体的な例を一つお話しますね。
披露宴では、ご参列の方の歌の伴奏のご依頼が頻繁にあります。
事前にリハーサルをしますが殆どの場合、本番は同じようにはいきません。
歌い手の方の緊張の度合いは、当然リハーサルとは比較になりませんし、気持ちの高ぶりはもちろん、お酒が入ったり周りの方々の手拍子や合いの手でムードがどんどん変わったり。。。
そんな時、もし私が自分の正義を頑なに全うしようとして楽譜通りに弾いたり、私は間違っていない!と自分の正統性を主張したり説明の皮を被せた言い訳をしたならばプロとして失格になり、きっともう「次」はないでしょう。。。そのような同僚を数多く見てきました。
歌う人の呼吸に合わせてテンポを揺らし、曲の調を耳で聞きながら瞬時に合わせてその都度変化させていけば、音楽だけを取り出してみた場合、それは楽譜通りに弾けていないと解釈されるボロボロの演奏でしょう。
ヘタだと笑われるかも知れませんね。
だけど私は一向に構いません。
「貢献に対して正直でありブレない」自分であると自信を持って胸を張れるからです。
もし恥ずかしさを感じたり、悔しさを覚えるのなら、自分の立場を誤解している証拠です。仕事を通して自己実現をしたいのかも知れませんね。
好き、を仕事にしようとする人が陥りやすいパターンです。最初は上手くいっても周りと本人に認識の誤差が生まれて、お互いがビターな思いを経験してしまいがちです。
私の、ブライダルプレイヤーとしての貢献は
歌い手さんに対し
参列者の1人として歌で新郎新婦さまの晴れの日の門出を祝福したい気持ちに演奏者として全身全霊で応え
歌い手さんに心地よく歌ってもらう
↓
会場が盛り上がる
↓
新郎新婦さまの未来の幸せに間接的に音楽で貢献する
ことであり、間違っても
楽譜通りにキッチリ演奏する
↓
歌い手さんと音楽がズレる
↓
会場の人が気がついて失笑する
↓
歌い手さんに恥をかかせる
ことではなく
リハーサルと違っていて大変だったね、お疲れ!と慰めてもらい、でも頑張ったよね、偉いね、すごいね、と称賛してもらう
ことでもありません。
いろいろな考え方がありますが、私にとって「ブレない」とは画一的に自分のやり方に固執したり、正義を振りかざすことではありません。
臨機応変な対応ができてこそ真の貢献ができます。柔軟に対応できることは高いスキルを現場で確実に生かす自信と余裕があってこそ。また揺るぎないプロの目線で冷静な判断が下せるということです。
生徒さん1人1人に奏でる喜びを実感する毎日を
ピアノ指導者としてその目的を果たすことに正直であるならば、決まり切った枠の中で動くだけではおのずと限界があり、目的に対してブレていることになり、貢献はできません。
実現の方法は常に変化していて、その数は無限です。
相手があってこそ初めて音楽で貢献ができる。そのことに常に正直でありブレない。
それが、プロフェッショナル私流です。