2020年発表会レポート | シンガポールのピアノ教室「fairy wish creation」

2020年、当ピアノ教室は、シンガポールのピアノ教室で唯一、オリジナルスタイルによる「ハイブリッド発表会」を開催しました。

新型コロナ肺炎という未知の感染症の出現によって私たちの生活が一変した2020年ですが

当ピアノ教室は、シンガポールで唯一、コロナに負けず保護者の方々のご理解、ご協力のもと、生徒さんたちのピアノ演奏の発表の場を守ることができました。

シンガポール国内では、4月から7月にかけて、感染拡大防止の措置として「サーキットブレイカー」が発令され、全ての住民は生活に必要な最低限の外出のみが許されるといった制限下での生活を余儀なくされ、出張ピアノレッスンも一切できなくなりました。

聞くところによると、その間、シンガポールのピアノ教室のほとんどは、なす術を失い、レッスンを全て取りやめ、規制が緩和されるまで休講としていたようです。

都市封鎖などの規制強化はその後も予告なく突然何度も実施され、シンガポールか感染拡大に見舞われるたびに対面でのピアノレッスンも影響を受けました。しかし2020年のこの頃は、ピアノの講師を含む教育関係者の中にも

この非常事態は一過性で、きっとそのうちすぐに終わる

との楽観的な見方も多くあったようです。

しかし当ピアノ教室は、講師の長年の在星歴から、事態の深刻さを真剣に受け止め、未曾有の危機に直面しているシンガポールが、国民の命と安全を守るために、今後の状況次第では大胆な施策に一気に踏み切る可能性も充分あることを事前に予測し、水面下でさまざまな「最悪」の事態をも想定しながら、レッスン継続のために必要なことの準備を着々と進めていました。

その甲斐があって、日本人学校を含む、シンガポール中全ての学校の授業が一斉にオンライン化されるとの一報が届いたその数時間後には、当ピアノ教室も足並みを揃え、レッスンをオンラインに切り替える決断を下し

その後も規制が強化されるたび、その日のうちに全員の生徒さんの保護者の方とコンタクトをとり、お一人ずつからご承諾を得て、密に連携を保ちながら、迅速にオンラインレッスンに移行することができたのです。

どんなことがあっても、生徒さんたちの学びを守り抜く

これは、当ピアノ教室の基本理念です。

オンラインレッスンに切り替わってからの生徒さんたちの成長は、大人たちの心配をよそに、大変目覚ましいものがありましたが

2020年は、毎年恒例となっている日本人会のホールで、その成果を発表することは叶いませんでした。

シンガポールで出張ピアノ教室を開いて24年目にして初めての予期せぬ試練に直面し、悔さに幾晩も涙で枕を濡らしたことを覚えています。

目まぐるしく変化していく環境に柔軟に適応しながら、そのとき、そのときのベストを尽くすべく、健気に頑張る生徒さんたちの無垢な笑顔に触れるたびに

何とかして、今の、この子どもたちの姿を、ピアノの演奏を、形にして残してあげたい

という思いは募るばかりでしたが

実際、日本のピアノ教室の大ベテラン先生方にご意見を伺っても、発表会どころの話ではない深刻な状況下であり、発表会実施までの道のりは、今思い返しても大変厳しいものがありました。

どんなに知恵を絞り、頑張ったところで、できることには限りがあり